先生や、後から来た警察の人、魔法取締部隊の人たちが私の話を聞いた。
全部を話し終わった時、みんなが目を伏せていた。
4人がどれだけ私のことを許してくれても、大人はそうとは限らないということを感じた。
私はきっと罪に問われてしまうのだろう。
そして、みんなとも会えなくなっちゃうのかな。
……それがいちばん嫌だなぁ。
「まずは、いままでよく頑張ってきたな。不憫なその体で一生懸命生きてきてえらかったな。」
「…先生、私自分がしたことにちゃんと向き合おうって思ってます。ちゃんと罰は受けるし、責任も取ります。だから、私が世間から許されたらまたこの4人と一緒にいさせてください、……お願いします」
先生に頼み込んだって何も変わらないかもしれない。だけど、この気持ちは言わなきゃ行けないと思った。みんなと離れたくない。少しでも長くずっと一緒にいた。それを知ってもらいたい。
「……あなた、」
びくんと驚いてしまう。
先生の口から私が償うべきの罪を下される。
「お前、自分が何したと思ってる?」
「え?」
「いやいや、元を質して考えてみろよ。あいつはお前の家族を奪い、ましてやうちの学校の生徒を狙った連続魔犯行者。お前のことも十分に傷つけた。つまりお前は悪を成敗したってことだよ。」
「えっと…」
「よかったなこのお人好し。お前のその考えは全部見当違い。お前が捕まるはずが無いって事だよ。」
❤️「俺らさっきからそうやって言っとったやん!」
💛「俺らの言葉信じてくれてなかったんですか?」
「い、いやそういう訳じゃなくって…」
💜「あなたの無事を1番に信じてる俺らが言うことに間違いがあると思ってたん?嘘とかぬか喜びするようなそんな中途半端な励ましなんてするわけないやろ。」
「みんな最初から気づいてたの……?」
💚「当たり前じゃん。俺らそこまで頭混乱してなかったし。正常な判断くらい下せるし。パニクって勝手に責任感じて、クソしょうもないもの背負おうとしてたの今気づいたの?」
「な、なんでそれを今言うの!!!もっと最初からそうやって言ってよもう!!!こんなに真剣に私話してたのに恥ずかしい人じゃん!!」
💜「結構面白かったで?」
「ひっどー!!私はいつだって真剣なのにそれをバカにして!!」
💛「あなたちゃん久しぶりに怒ってなんか可愛いですねぇ」
「ちょっとは相手にしてよ」
「おいあんま暴れんな。まだ傷も完治してないだろ。」
そう制止されてやっと我に返った。
自分の周りには真面目そうな大人が沢山いるのに。
ついムキになってしまった。
「…あはは、すみません」
❤️「雑魚ちゃん顔真っ赤ー!」
「言わなくていいの!」
💚「さっ、もう帰ろうぜ?せんせー、部屋まで連れてってよ」
「はぁ?見ろよ先生だってボロボロなんだぞ?」
💜「大の大人が倒すの苦戦してたやつを雑魚ちゃんは一瞬で倒しちゃったんやね?もう雑魚やないやん。」
❤️「たしかにー!!先生よりも強いんじゃん!」
「あれはあいつに対して負の感情が大きかったからあんなに強い呪いを出せたんだよ。私他に呪いを知らないし、結局魔力を返してもらえなかったし、私はいつまでたっても雑魚のまんまだよ…」
💛「返してもらう前に燃やしちゃったもんなー」
💚「言ってたじゃん。自分の強みを磨いてたって。その呪い、極めれば?」
「…いや、私はこのこれっぽっちの魔力でひたむきに頑張るよ。あいつからの嬉しくないプレゼント、溺愛以外の呪い使いたくない。」
💚「お前そのページ読んだのかよ。」
「こっそりね?」
❤️「溺愛?」
「なんでもないよさかた」
💛「えー!ずるいです!教えてください」
💚「俺らの秘密。」
💜「ちぇ俺達も雑魚ちゃん助けるの頑張ったのにかっこいいところだけ持ってかれたわー」
💚「いや俺だって相当頑張ったし」
❤️「だっていっちばん最初、めちゃめちゃ強い魔法ぶっぱなしてたもんな」
💛「その後先生に手刀キメられてたもんな」
💚「お前らほんとに殺すぞ」
やっと元に戻った。
ずっと私が探していた幸せだった。
もう一度この人たちと笑える。
喧嘩できる。わがままを言われる。
時々甘えられる。
甘えたら存分に甘やかしてくれる。
私はこの人たちが大好きだ。
「じゃあ、そろそろあの部屋に戻るぞ。あなた、覚悟しろよ。あの部屋の荒れ具合やべぇから。」
「え、」
「戻ったら片付けからだな」
私の平和は片付けから始まるみたいだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。