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第1話

プロローグ
2,255
2019/12/22 06:34
途方に暮れていた。
やっぱり私はまた、失ってしまった。
精一杯手助けして、一生懸命笑って、決して嫌な顔は出さないように。
私は救われた立場だから。恩返ししたくて。
常に正しく、笑顔でいたくて。










私は次。何を失うんだろう。
姉鷺カオル
姉鷺カオル
ちょっとあんた
大丈夫?
You
You
………………………………私?
姉鷺カオル
姉鷺カオル
あなた以外に誰がいるのよ。
こんなに雨に濡れちゃって……
風邪ひいちゃうじゃないの
You
You
雨……………あ、そっか。雨降ってたんだ
姉鷺カオル
姉鷺カオル
大雨よ!気づかなかったの?
まあ、ともかく。
この傘あげるから、
とっとと家に帰んなさいよ
You
You
……………………
姉鷺カオル
姉鷺カオル
きいてんの?
ビニール傘を受け取らず、ポソりとあなたは言った。
You
You
なにか、アルバイトを知っていますか?
姉鷺カオル
姉鷺カオル
えっ?あ、アルバイト?
You
You
はい
姉鷺カオル
姉鷺カオル
そんなの色んな店の張り紙見なさいよ
それより早く傘、ささないと
風邪ひくわよ?
You
You
……………………なら、いいです
差し出された傘を受け取らず、雨に打たれながらどこかへ行ってしまう。
姉鷺カオル
姉鷺カオル
ちょっと、あなた!!…………
行っちゃった……









河川敷の下。雨宿りをしていた。
You
You
………どうしよう、これから
ポケットで陽気な着信音を鳴らす携帯の電源を切った。
流れる川の水面を見る。暗い顔をした自分が映る。
You
You
駄目だ。笑わなちゃ
無理をして笑う。じゃないと、どうにかなりそうだ。
You
You
……………死のっかな
???
ねえ、君
何してるの?

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