梅雨になる手前の5月の下旬、
高校3年になってから早1ヶ月半。
「おい、あなた!!!行くぞ!!!」
そう廊下にまで響き渡りそうなくらい力強く言うのは同じクラスのジミン。
あぁ、そうだ、今日は1年生の教室で学校のことを教える日だった…
ちょっとめんどくさいとか思いながらジミンについていく。
1年生の教室に着くと、ジミンが1番最初に話し始めた。
「今日は、朝のHRの時間を使って、学校のことを色々教えていきます!」
ジミンは普段からはきはきしてるわけじゃないけど、こういう時はしっかりと話せるんだよね…
そんなことを思いながら教室にいる1年生の顔を1人1人見ていく。
1年生ってやっぱり楽しいんだよね。
みんな目がキラキラしてる。
そんな中、1人の男の子に目が止まった。
〈あの子、かっこいい〉
いや、初めて会ったのにいきなりこの感想ってどうかと思ったよ。
でもね、すごいかっこいい。
その子は、話しているジミンの方をじっと見つめて、ちゃんと話を聞いてる。
こんなにじっと見つめられてたら話してる方は緊張するなぁ、って思った。
そんなこと考えてるうちにHRは進んでいっていた様で、
「じゃあ、今日はこんな感じかな。
また来週HRの時間使って違うことを教えるね!じゃあ、あなた!!!最後に一言ある?」
え。
嘘でしょ。
一言とか、話したら絶対あのイケメン君に見られるやん。
そんなの、緊張しすぎて何も話せないって…
何か言い訳はないかな…
あ!これだ!
〈今日はもう時間がないから、私からのは省いてください!〉
「OK、じゃあ今日はこの辺で〜。
ありがとうございました!」
ふぅ、これで何とかなった…
でも、また来週あるんよね!?
まぁいっか、それよりイケメン君見れる方が嬉しいし。
それにしてもあのかっこ良さは惚れた。
これを "一目惚れ" というかは私には分からない。
そう言えば1年って、
さくらの妹と同い年だっけ。
さくらは私の幼馴染で同じ高校。
妹は
《お姉ちゃんと同じ高校に行く!!!》
って言ってうちの高校に受験したらしい。
とりあえず、さくらにこのこと言ってみよう。
〈さくら〜、聞いて、聞いて!!!
今日、1年生に学校のこと教えるために1年生の教室に行ったんだけど、すごいかっこいい子がいたの!!!!!〉
『え!そうなの!?なんていう子?』
〈それがさ…A組とB組、混ざってHRしたから、何組かわかんないし、名前もよく見えなかったの…
だからね、勝手にイケメン君って呼んでるㅋㅋ〉
『名前もクラスもわかんないのか…
もしかしたら妹の友達かもだから紹介してもらえば?ㅋㅋ』
〈いや、展開早すぎだし、いきなり紹介されても、誰こいつって思われるだけやんㅋㅋ〉
『そっかㅋㅋとりあえずクラスが分かればいいんだけど…』
〈じゃあ来週また、1年生の教室行くから何組か見てくるね!!!〉
『OK!じゃあ、もう授業始まるから、また後で!!!』
そう言ってお互い教室に戻った。
(さくらはC組、あなたはA組です)
~授業~
授業が始まってもなかなか頭から離れないイケメン君。
私が一目惚れなんて、そうそうないから、自分でも珍しいとか思ってる。
一目惚れかも分からないけど。
一目惚れってことにしておこう。
[ …これがこうで、こうなるってことです!]
おっと、イケメン君のこと考えてたら先生の話の内容が全く頭に入ってこない。
ま、いっか。
その後結局、
話が入ってこなすぎて寝てしまいましたたたた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。