幼稚園生の時、初めて友達になったのが君だった。
それから俺達は家が近かった事もあり、すぐに仲良くなった。
そして小学校を卒業するまでの約10年間、
ずっと一緒にいるなんて予想もつかなかった。
そして、こんな感情を抱くことも。
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小学生になってからの朝の日課、それはみやを起こす事。
みやは寝起きが悪いから俺が起こさないと必ず遅刻する。
そう、今日は始業式。
俺達は進級して6年生になる。
みやは手早く支度を済ませ、通い慣れた道を2人で走り抜け、学校を目指す。
俺とみやは4年間一緒のクラスで、3、4年の頃は離れてしまったけど嬉しいことにまた5、6年で一緒のクラスになれたのだ。
俺はどちらかと言うといじられ体質なので、良くクラスの強い子達にからかわれたりすることが多々ある。そんな時はみやがそいつらから俺を守ってくれる。
そんな優しくて、強い君に…
俺は…
俺は誤魔化すように自分の席へと向かう。
流石にみやの事考えてたなんて言えないもん。
4月の陽気な天気とはまるで真反対に、俺はどんよりと深くため息をついた。
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みやと一緒に帰ろうと、俺はランドセルを持って自分の席から立ち上がろうとすると…
クラスの気が強い男子グループの1人に声を掛けられた。
俺はこのグループが苦手だ。
いや、嫌いと言った方がいいかもしれない。
5年生の頃もこいつらに散々からかわれたりしたから。
俺が返事をすると、その3人は不気味に微笑んだ。
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俺はじんちゃんの机を確認すると、まだランドセルやら筆箱やらが残っていた。
トイレかななんて呑気な考えが頭に浮かんだけれど、次の瞬間にはそんな考えは何処かに飛んでいった。
俺は勢いよく教室を飛び出した。
俺が見たのは教室に残っているじんの物でも無い、3つのランドセルだった。
……To be continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。