第14話

話をさせて
230
2020/05/23 08:00
次の日

渡部くんと昨日のこと話すって決心はしたけど…
渡部 響
~が~でさ!
田邊 奏
え?まじ?すげぇー
中原 心
奏 感心してる場合じゃないって!
…教室の隅で3人仲良く話している





田邊くんはなんとかできそうだけど中原さんがいて話しかけられないな…


それにいつもに比べずっと一緒にいる気がするんですけど…





と思ってると後ろから日菜があーあと話しかけてきた
梶川 日菜
中原さんいつもより渡部くんにくっつきすぎじゃない…?
梶川 日菜
ラスボス中原さんさえ倒せば話せるのに…


と悔しそうな顔をしている
今野 まひろ
そうだね…ってゲームじゃないんだし倒しちゃダメだよ笑
今野 まひろ
でも…どうしよう…
うーんと2人で考えこむ





すると日菜はあ!そっか!と手を叩く
梶川 日菜
あの、渡部くん専用携帯で呼び出せばいいんだよ!
今野 まひろ
それも考えたけど…あれは…さ「まひる」だから…


もう偽物の私とは渡部くんと向き合わないと昨日 決めたばかりだ


だから………
今野 まひろ
私、今 話してくるよ
突然の言葉に

日菜は少し驚いた顔をして



梶川 日菜
まひろ……頑張れ


ニコッとして私の背中をトンっと押した





日菜…ありがとう…



そう心の中で言って私は渡部くんたちの方に歩きだした




ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

だんだん渡部くんたちの方に近づいていく


渡部くんと話すのは正直怖い。

何を言われるかわからないけど…

何も話さないで後悔だけはしたくないよ…
今野 まひろ
渡部くん!!

と呼ぶと3人が一気に私の方に振り向いた


渡部くんを見ると表情は昨日と同じく曇り始めていた



そして
渡部 響
今野…

と呟いた


やっぱり 私 嫌われちゃった…のかな



と思っていると中原さんが、私の方へ向かってきた
中原 心
ねぇ、今野さん どういうつもり?


彼女の目はこの前の宣戦布告と同じような目つきをしている



でも…ここで…負けないよ
今野 まひろ
渡部くんに話があるの。いいかな?


そう言うとはぁ?という中原さんの言葉が教室に響いた
中原 心
そこで、分かった、話してきなよ。って私が言うと思う?
今野 まひろ
それは……
言葉が出てこなくなる
中原 心
私はさ、ずっと真っ正面から向き合ってるのに…
中原 心
今野さんは裏でコソコソ近づこうとしてさ…私 今野さんだけは響とくっついて欲しくないんだよ…

中原さんは今にも泣きそうな顔をしている


私はその時七海が前に言っていたことを思い出した
今野 七海
中原さんって人は渡部先輩のこと大事に思ってるからお姉ちゃんのそのアピールの仕方が嫌だったんだよ


…七海のいう通りだった

ずっと真剣に向き合ってきた中原さんの気持ちをいつの間にか私は踏み潰していたんだ




だったら私のすべき行動は…中原さんに渡部くんを譲ることなの?















………ううん。違う










私はふぅ…とひと息 はいて
今野 まひろ
中原さんごめんなさい。
私…最低だった

と頭を下げる
今野 まひろ
自分でもなんでこうしちゃったんだろうって後悔してる。
今野 まひろ
だからもう…間違えたくないの
私も真正面で向き合うよ
今野 まひろ
お願い。渡部くんと話をさせて
と中原さんの目をまっすぐ見て言う





中原さんもじっと私を見た




そして…
中原 心
……今回 だけ…だから


と言い教室を出て行った
今野 まひろ
中原さん…


中原さん…本当にごめんね…







梶川 日菜
ほら、奏も行くよ!!

と急に出てきた日菜が渡部くんの隣にいた田邊くんの腕を引っ張って教室を出て行く
田邊 奏
ひ、日菜?
痛いんだけどぉぉ?!
と悲鳴がここまで聞こえてくる



田邊くん大丈夫かな…笑





日菜だけでなく教室にいたみんなが気遣ってくれたのか気づけば教室には私と渡部くんの2人きりになっていた



やっと……この恋と決着をつける時がやってきた



私は口を開いた

プリ小説オーディオドラマ