your side
オペは無事に成功。
小型の人工心臓を取り付ける手術で、
前例のない手術だったらしい。
4時間~7時間で予定されてたオペだったけど、
3時間で終わらせてきた。
傷口は最小限にして、
周囲の細胞を傷つけないように。
私の得意な分野だった。
あの子が、一日でも早く元気になるといいな。
そんなことを思いながら、
渋谷のホストやキャバクラが立ち並ぶ夜の街に、
足を踏み入れる。
現在21:00。
午前のオペ以降は通常の救急科としての対応のみ。
だから疲労感もそこまで無い。
私の勤めるキャバクラは、
渋谷と歌舞伎町にお店があって、
どっちも店自体の人気はNo.1に近いんだけどね。
割と歌舞伎町勤務なのに
今日はなんか呼び出されて渋谷に来た。
あ、ちなみに、渋谷でも歌舞伎町でもNo.1です♡
1歩夜の街に私が足を踏み入れただけで、
皆の視線は私に集まる。
私のことを尊敬してくれる子が他店にもいるしね。
まあそれがNo.1キャバ嬢でしょう?
リン「あっ、あのっ!立花様!」
『あら、リン、今日は出勤なの?』
リン「はっ、はいっ!まっ、まさか立花様にお会い出来るとは思っていなくて」
『今日は渋谷店のオーナーに呼び出されて、
こっちに来たの。私もリンに会えて嬉しいわ。』
リン「((ホワアアア////// うっ、嬉しいなんてそんな/////」
『じゃあ、私もお客様をお待たせしてしまってるから、そろそろ失礼するね。』
リン「はっ、はいっ!」
彼女の名は リン。
以前からずっと私のことを慕ってくれている、
他店のキャバ嬢。
キャバ嬢①「きゃあああ!立花様だわ!」
キャバ嬢②「えっ!?立花様!嘘っ!会えるなんて…」
キャバ嬢③「えっ!立花様が渋谷に!?」
男①「うおおおおぉ!あれが伝説の立花様…!」
男②「嘘だろっ!?こんなところで会えるなんて…
全然お店でも指名出来なくてもはやいるのか分からない存在なのに!存在している!」
キャバ嬢④「きゃあああ!みんな!立花様よ!」
ホスト①「えっ、立花様がいる…」
「うそっ!」
「えっ!?」
「きゃあああ!」
「すげぇ…」
ザワザワザワ
360°どこからでも
『立花様』とかいう単語が聞こえてくる。
No.1って大変よね。
でも私だって、楽してここまで来た訳じゃない。
誰よりも努力して、今の立場になっただけ。
さーてと、渋谷のオーナーのお呼出は何かしら?
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!