第17話

拾漆
628
2019/09/07 02:48
酒を飲むか。飲ませるか。
‥‥‥どうしよう。分からない。

考えても、考えても、どうすればミッションをクリアできるか分からない。

このままだと私は‥‥死んでしまう。
シシビ
ほらほら早くー!罪人なんだから早く決めてー!
鳥羽 蛍
いや、罪人だから早く決めるって何‥‥‥‥




────────罪人。





‥‥‥私は、何しにここへ来た?
そうだ、地獄に堕ちる為だ。罰を受ける為だ。

それなのに命が惜しい?
私は何を馬鹿なことをしているのだろう。

何故今まで忘れていたのだろう。
何故罪人が死ぬことを恐れたのだろう。


‥‥‥こんな感情はいらないんだ。
命に執着するな。
私は罪人だ。

──────私が生きて良い理由などどこにもない。
シシビ
‥‥‥トバホタル?
急に黙り込んだ私を不思議に思ったのか、シシビが私の様子をうかがった。
鳥羽 蛍
‥‥‥
私は黙ってワイングラスを手に取る。
そして唾を飲み込んだ。
鳥羽 蛍
‥‥‥よし
私はそのままワイングラスに入った赤ワインを一気飲みした。

‥‥‥全てではない。
シシビ
ん?全部飲まないの?
不思議そうな顔をするシシビに、半分減った赤ワインを突き出す。
鳥羽 蛍
シシビも飲んで。好きなんでしょ?
私は不適の笑みを浮かべる。

もしもどちらかが正解だったとしたら、私の助かってしまう確率は二分の一。
その二分の一の確率をゼロにする為には‥‥‥
シシビ
酒を飲む。酒を飲ませる。それをどっちもして自害する選択肢はあげてないけど‥‥‥‥良い!気に入りましたよ!
シシビはそう言ってワイングラスを受け取った。
シシビ
お言葉に甘えて、いただきます
躊躇ちゅうちょすることなく毒入りの酒を飲むシシビに、私は少し驚いた。
シシビ
はーい!正解が分かる秒前ー!
シシビはワイングラスをわざと床に落とし、割った。
そして笑った。
シシビ
‥‥よん‥‥さん‥‥‥‥いち‥‥‥




『‥‥‥ぜろ






───────途端に、目眩がした。

体に力が入らず、私はそのまま床に倒れる。


‥‥‥そうか、酒を飲むのが不正解だったということか。
もう既に体中に毒が回っていたんだ。

何か呆気ないなぁ‥‥‥







意識が朦朧もうろうとする中、シシビの醜い笑顔が見えた。

‥‥‥本当、お前は気持ち悪い。







──────そして私は、意識を手放した。




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