第25話

弐拾伍
531
2019/11/19 09:02
クラスメイト
おっ!芦阿!おは!!
クラスメイト
おー!芦阿じゃーん!おっはよー!
クラスメイト
何!?芦阿くん!?
クラスメイト
おはよ!!
クラスメイト
今日も元気ー?
芦阿 波戸
お、おう‥‥‥?
腫れ物を見るような目から、人気者を見るような目に突然変貌したクラスメイト達に挨拶をされる。

これはどういうことなのか。
未だに理解できていないが、少し説明しよう。























これは昨日の出来事。



芦阿 波戸
‥‥‥何でお前そんな嬉しそうなんだよ
朝、下駄箱で靴から上履き履き替えている遠藤に、俺は問いかけた。
遠藤 由鶴
えー?だって嬉しいじゃないですかぁー
遠藤 由鶴
朝、家を出てみれば波戸くんが家の前で待っててくれたんですよ?寒いのに!
いや、それはお前が極度の方向音痴だと自分で言ってたから心配しただけで‥‥‥
遠藤 由鶴
いや、それはお前が極度の方向音痴だと自分で言ってたから心配しただけで‥‥‥‥
遠藤 由鶴
とか思いましたよね?
遠藤はニヤニヤしながら俺の顔を覗く。
芦阿 波戸
何で分かんだよ‥‥‥‥お前のそういう所、本当に怖い
本当に怖い。
初めて会ったのに名前知ってるわ通っている学校知ってるわで色々と怖いんだよこいつ。
遠藤 由鶴
お母さん経由‥‥‥‥ですね!
いやまじでお前の母ちゃん何者?
遠藤 由鶴
ほら、さっさと教室にレッツラゴーです!
教室とは反対方向の方に人差し指を向けて、遠藤はそのまま教室と反対方向の廊下を歩き始めた。
芦阿 波戸
‥‥‥遠藤クーン、教室ハアッチデスヨー
すると遠藤は、あれ‥‥‥?と言って真剣な顔をしながらこちらへ戻ってくる。
芦阿 波戸
これは本気ガチの方向音痴‥‥‥
俺は大きな溜息を吐き、遠藤を連れて教室へと向かった。





















ガラッ、と教室の扉を開けると、教室にいたクラスメイト全員が一斉に俺の方を見た。

な、何だ?いつものことだけど今日は妙に‥‥‥
森 直哉
おっ、芦阿!おはよ!
何かおかしいぞ‥‥‥今、俺に向かって挨拶が飛んだような‥‥‥
遠藤 由鶴
波戸くーん?挨拶されてますよー?
芦阿 波戸
えっ?あ、え?お、おはよ‥‥‥?
衝動的、と言ったら良いのだろうか。
俺はよく分からないままよく分からない挨拶を返す。
森 直哉
ははっ、お前おもしれーのな!
後ろの席の森は、しんと静まり返る今日で腹を抱えて笑った。
クラスメイト
ぷっ、ははっ
クラスメイト
あはは
すると次々にクラスメイトが笑いだす。

どういうことだ、これ。
遠藤 由鶴
昨日の会話ですよ
遠藤は俺の心を読んだかのように、話しだした。
遠藤 由鶴
昨日の僕たちの会話を聞いて、もしかしたら芦阿くんのこと誤解してる‥‥?って皆言いだしたんです
遠藤 由鶴
そうしたら、直哉くんが波戸くんが不良から助けてくれたこととか皆に教えて‥‥‥最終的に、こんな感じです
遠藤はまるで自分のことかのように嬉しそうに笑う。
遠藤 由鶴
誤解、解けてよかったですね!
何の誤解だ、とかは思ったけれど今は聞かないことにした。
何となくだけど、遠藤は俺を皆の輪に入れたかったんじゃないかって思うんだ。
芦阿 波戸
お前まさか、昨日の会話ってわざと‥‥‥
遠藤 由鶴
んー?何のことでしょーか
にしし、と笑う遠藤。
本当にこいつは、鈍感なのか鋭いのか分からない性格をしている。
クラスメイト
あの‥‥‥ずっと、芦阿くんのこと誤解してたみたいで‥‥‥ごめんね!
クラスメイト
俺もごめん!
次々と謝ってくるクラスメイトたちに、俺は囲まれる。
芦阿 波戸
えーっと‥‥‥西山と山本、原田、それと真村?あの、そういうの良いから‥‥‥ほんと、逆に困るというか‥‥‥‥
クラスメイト
名前知ってるの!?
余計乗り出してくるクラスメイトから、俺は少し後退あとずさる。
芦阿 波戸
知ってるも何もクラスメイトだし‥‥‥‥というかまじで退いてくれると助かる
クラスメイト
もしかしてクラスメイト全員!?
後半の言葉を華麗にスルーしないでくださいます?
芦阿 波戸
まぁ‥‥‥うん、そうだけど、あの、ほんとに‥‥‥
クラスメイト
まじかよ!予想外!!
‥‥‥‥よし、諦めよう。


























と、なんやかんやで今に至る。
クラスメイト
芦阿!俺の名前は!?
芦阿 波戸
齋藤クン
クラスメイト
おおっ!すげー!!
いや、そのなんやかんやが超絶意味不明なんだけれども。
クラスメイト
ねね!私は!?
芦阿 波戸
石井サン
クラスメイト
当たりー!
そして今思うこと。
何故俺に自分の名前を聞くんだこいつら。

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