第4話

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2019/05/22 22:50
エレベーターの扉は、いつにも増してゆっくりと開き始めた。
鳥羽 蛍
まじですか
エレベーターの扉の隙間から見える光景。
それは、ホールだった。
鳥羽 蛍
広過ぎでしょ‥‥‥
エレベーターの扉が完全に開いたのを確認し、ホールへと足を踏み入れる。

何となく後ろを振り向くと、もうそこにエレベーターは存在しなかった。
鳥羽 蛍
怖っ
ホールには、大学生から中年の人まで沢山の人がいた。
ここにいるほぼ全員が、理解不能、という顔をしている。

‥‥‥‥高校生らしい人はいない。

まあ、高校生になって罪を犯すとか少年院行きだろうからここにいるのはおかしいか。
???
ねぇ君!
例外一名、発見。
???
もしかして高校生!?
突如話しかけてきたこの元気そうな女子は、頭の高い位置で茶色がかった髪を一つに結んでいる。
鳥羽 蛍
まあ‥‥はい、そうですけど
???
本当!?よかったぁ!
鳥羽 蛍
はい?
???
いや、ね?同年代らしき人がいなくて、ちょー寂しかったからさ‥‥‥
この女の子ポニーテールはどうやらクラスの中心にいるタイプの女子らしい。
中島 春
あっ!私は中島春なかじまはる!!高一だよ!
これは、自己紹介をしなければならないパターンだ。
鳥羽 蛍
私は鳥羽蛍とばほたる。同じく高一
すると、中島春はポニーテールを揺らしながら、そうかー、蛍ちゃんかー、可愛い名前だねぇ、と私の名前を連呼した。
中島 春
私のことは春って呼んでね!蛍ちゃん!
馴れ馴れしいな、この人。


そんなことを思っていると、またしても元気そうな男子が声をかけてきた。
???
おっ!高校生らしき人発見!!
中島 春
もしかして、あなたも高校生‥‥!?
芦阿 波戸
おう!芦阿波戸あしあなみと!!高ニだ!
中島 春
おお!私は中島春です!高一です!!
暑苦しいな、こいつら。
???
暑苦し
どうやら、私と同じ気持ちの人一名いるらしい。
中島 春
はっ!ここにも高校生らしき人が!
中島春を嫌そうに見つめるこの黒髪の青年は、イケメンというたぐいに入りそうな人だ。

ついでに、あの暑苦しい栗色の髪をした青年もイケメンという類いに入りそう。

中島春は‥‥‥美人というより可愛い系だ。
中島 春
君!名前は!?
???
‥‥‥言わなきゃいけないこと?
本当に嫌そうな顔をしている。
芦阿 波戸
この流れ的には‥‥‥な?
すると、黒髪の青年イケメンくんは大きな溜息を吐いてから口を開いた。
時岡 奏
時岡奏ときおかかなで。高一
その時岡奏に「苦労してるね」と私が目で話しかけると、時岡奏は「君もか‥‥」という顔をした。


そして、暑苦しい二人を無視し、私と時岡奏はホールの端へと移動する。

何となくは想像していたが、ホールの端は静寂に包まれていた。


それを切ったのが、時岡奏だったことは以外だけど。
時岡 奏
‥‥‥君、名前は?
そう聞かれて、さっきの時岡奏のように応える。
鳥羽 蛍
言わなきゃいけない?
時岡 奏
別に
時岡 奏
でも、君は俺の名前を知っているのに俺は君の名前を知らない。何か、そういうのモヤモヤする
私は、確かに、と相づちをうった。
鳥羽 蛍
私は鳥羽蛍。時岡くんと同じ高一
私よりはるかに背の高い時岡くんを見上げると、目が合った。
時岡 奏
名前を呼ばれて、一瞬心臓が跳ね上がった。
鳥羽 蛍
な、何‥‥?
時岡 奏
いや、何でも
呼んでみただけ、っていうパターンね。
鳥羽 蛍
私はやり返すかのように時岡くんの名前を呼ぶ。

けれど時岡くんは、微動だにもせず私と目を合わせた。
時岡 奏
ん?
鳥羽 蛍
何でもない
すると、時岡くんは可笑しそうに微笑んだ。


────────この人、よく分からない。























数分経ったところ、ホールにアナウンスが流れた。
???
『地獄に堕ちた皆様、おめでとうございます!』
???
『さぁ、地獄ゲームを始めましょう!』


‥‥‥その声は、とても楽しそうだった。



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