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皆さんこんにちは。すみません、突然ですが作者の月渡です。
前回の第45話、つまり「肆拾伍」のことで少しお知らせを。
3月下旬のことなのですが、前チャプターを公開したはいいもののバグの影響で大半のストーリー(本文)が抜け落ちた状態でした。
それに気付き運営さんにかけあってみたものの、復元は叶わず書き直し、という結果に。
それで、チャプターを1度公開してしまうと2度目の公開で通知がいかない場合が多いのでは、と思うので、「蛍が姉の蒼に問い詰めるシーン」に覚えのない方は1つ前のチャプターに戻っていただいて、そこから読んでもらえると幸いです。
お手数をお掛けしてすみません。
そして、今後とも「地獄ゲーム」をよろしくお願いします。
更新スピードは頑張って上げたいと思っています。
─────では、本編へどうぞ。
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突然大きな音がしたと思ったら、どうやら隣のグループが騒ぎになっていたらしい。
お金がどうだ、とか。
私は自分の話をやめて、仲介しに行こうとする波戸先輩の腕を掴んで止めた。
波戸先輩は何かを考えるように頭を掻いた後、わかった、と静かに言って席に戻った。
そして、沈黙が流れる。
いつの間にか他のグループも沈黙しており、私たちの隣のグループの騒ぎだけが空間内に響いていた。
騒ぎがヒートアップし、
「ひぇ···」
「下民て···あの人どっか昔の貴族様だったりする??」
「なんか面倒臭くなってきたな···」
との声が聞こえた。
因みに、上から春、波戸先輩、奏である。
瞬間。
騒ぎを切り取るかのように、騒ぐ二人の間を一本の日本刀が通った。
はらり、とどちらのか分からない切れた髪が落ちる。
二人の間に割って入る一人の少年───シシビは、先程の空気を切り裂いた日本刀を片手に握っていた。
ヒュ、と息の詰まる音。
シシビの日本刀が、騒いだ片方の奴の首に触れていた。
プツリ、と刃が肌を切って細胞に押し入る。
からり、と嘲るように嗤うシシビ。それは確かに、絶対零度の目をしていた。
誰かが、小さな悲鳴をあげる。
誰かが、一歩後ろに後ずさる。
誰かが、その場にへたり込む。
誰かが、息を飲み込んだ。
そして、静寂が訪れた。
さっきまで騒いでいたはずの二人は、もう人ではなかった。
いや───人であった何か、というべきか。
そう言ってシシビが見下ろしたのは、血溜まりと肉片。人だった、もの。
すべて、シシビが日本刀で切り刻んだものだった。
くれぐれも、粗相のないように。
そう言って、シシビは暗闇へと消えてく。
いつの間にか無惨な人の成れ果てはなくなっていて、サシビとウシビがシシビの後に続いていなくなった。
顔色の悪い春の背中をさすり、私はシシビが消えていった暗闇を見つめる。
慣れたような手つきで人を切り刻んで殺したシシビは、我々と言った。
それはサシビとウシビだけが含まれているわけではないと、そう思う。
なら、今、シシビがこの場でこのデスゲームを進行している裏で───まだ何かが動いている。
この進行役たちは何かしらの組織に所属していて、今回はその組織の活動にあの三人が当てられたというわけだ。
·····なに、それ。そんな大きな力が働いていて、なぜ私たちは何も知らなかったの?
警察も、政府も、総動員するほどのこの大虐殺を、なぜ報道陣は報道しないの?
おかしい。何が起きている?
今、日本に、何が──────
すっと、割って入った透き通る声。
周りを見てみれば、どうやら私の様子を心配したらしい三人が私を見つめていた。
あぁ····いいや。今は、考えることをやめよう。
私はそう言って、また口を開いた。
そして、始まる罪の話。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。