しばらくして、私はお父様の命令で
アリラーと森の中を歩いていた
理由は、私を薬草などの毒味役にするため
私は、アリラーに頼まれて
崖に咲いている一輪の花を取りに行った
でも私は、足を滑らせてしまった
何とか片手で岩を掴んだ……
その一言を吐き捨て、アリラーはその場を去った
何度叫んでも、助けは来なかった
とうとう耐えきれず、私は落下した
ボチャ-ン!
服が重たくて、思うように動けない
あの大雨の夜を思い出し、体が動かなくなった
私は、気を失った
『ねぇ、君を助けてあげるね』
少年の声がして、気がつけば陸に上がっていた
今思い出せば……あれはライトの声だった
あの落ちる感覚、浮遊感
全てが、私の記憶に嫌に残った
家に帰っても、誰もそれを喜んではくれなかった
クリスマスの日、色んな人が、我が家にやってきた
私も……私だって………
クリスマスのプレゼントが欲しかった……
1回だけでいいから、皆で……
同じ机を囲って、ご飯を食べて
同じ話をして笑い合いたかった………
お願い……神様……
勉強も頑張るから
悪いこともしないから
家族で……1回だけでいいから………
一緒に、ご飯を食べたい………
結局……叶わなかった………
私は、プレゼントのゴミを拾い集めて
シアのために、リボンや紙を編んで
箱を切って、貼って
暖かなベットを作ってあげた
そしたら、すごく喜んでくれた
これが……クリスマスの思い出
クリスマスが来る度、私はゴミをかき集めて
シアに防寒具を作ってあげた
だから、裁縫は得意分野
除け者にされたが故にできた、いらない才能
私も……家族に……
愛されたかった────
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。