目が覚めると隣には裸の壱馬。
あ。そうだ。
昨日ヤッたんだ。
今何時だ?
朝5時。
早くに起きちゃったな。
携帯を見る。
え、
あの北人くんから数え切れないほどの着信があった。
お陰で充電は3%。
何かあったのかな。
帰ろう。
私は服を着て痛い腰をおさえて家に帰った。
ガチャ
そうだよな。
みんな寝てるよな。
リビングに行く。
ソファに北人くんが寝ている。
スマホを握りしめながら。
ずっと電話掛けてくれてたんだ。
全然気づかなかった。
風邪ひくと思い、自分の部屋に行くようにとりあえず北人くんを起こすことにした。
私は小さい声で声をかけながら体を揺すった。
すると目が合った。
やばい!殺される!
そう言って北人くんは自分の部屋に行った。
なんだ。
優しいとこ、あんじゃん。
初めて笑ってくれた。
私は不意にもその笑顔をずっと見てたいと思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!