前の話
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_episode 01_
私「ねえ、私のこと好き?」
…
彼と付き合い始めて半年が経つ。
今までこんな質問をしたことがなかった。
今思い返せば、こんな質問をしようと思ったことすらなかった。
どうして、こんなことを聞かなきゃダメなんだろう。
いつから、こんなことを聞かなきゃ安心できなくなってしまったんだろう。
彼「もちろん好きだよ。」
自己嫌悪に陥っている私に、今1番欲しかった言葉を彼はくれた。
それと同時に彼の表情が曇る。
彼「どうしてそんなこと聞くの?」
私にもわからなかった。
彼が私のことを好きなのは嘘じゃないと思っていた。
ただ、"確信" が欲しかった。
それだけだった。
でも、私が確信を得る度に彼は悲しい表情をする。
それがとても辛かった。
私「不安になっちゃって…」
彼「また?」
そう、また。
彼は呆れたように言う。
彼「どうすればいいんだろうね」
そう思うのも仕方がなかった。
何回もこのようなやり取りをしていたら、さすがにうんざりするだろう。
それは自分もわかっていた。
でも不安はいつまで経っても消えてくれなかった。
私「ごめんね」
毎回、そう言うしかなかった。
そして、また自分を嫌いになっていくだけだった。
こんなんで恋愛うまくいくんだろうか。
そんなことを考えながら、私は不安と隣り合わせで今日も生きている。
…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。