部屋の小さな窓から覗き込んで外を見る。
結構土砂降りだな…
3時間くらい経った頃だろうか。
大きな雷霆が、部屋中に響き渡った。
あーやべ、音で跳ね起きちゃった…マジで落ちるなよ雷…
とりあえず視界入らなくて良かった…
今何時だろ…
別に意識するでもなく、
自然と私の視線は小窓の方へ向く。
白いキャンバスに何も考えずに塗りたくったペンキのようなべっとりとした藍色いっぱいの空には、
わたあめ、なんて可愛い表現の出来ない程気味の悪い灰色の雲が浮かんでいる。
次の瞬間。
一つの細長い電光が光る。
それは見るまでもなく、今夜一番の電閃だった。
見てはいけないと分かっていながらも、
不思議と惹きつけられてしまう感覚。
一瞬にして目を奪われた。
紺碧色の稲妻が、暗闇を切り裂くようにうねり、
亀裂が走ったように地上に次々とのびていく。
その後に遅れて、腹の底から根こそぎ奪われるような雷鳴が轟く。
気付いたら私は、
寝ている伏黒の腕を掴んでしまっていた。
私は目に涙を溜めているようだった。
……私も寝よ…
………とは言え、起きちゃったよなぁ。
どうしよう。この時間にスマホは良くないよね…
やっぱりまだちょっと気持ち悪いかも…
……外出るか………
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。