第31話

天与呪縛
2,319
2021/12/13 14:11
究極メカ丸
…こんな所があるのカ



狗巻に案内された場所は、山の一角にある人気ひとけの無い崖。
そこには、ベンチがぽつんと置かれていた。
なるほど、ここならこの格好メカ丸でも問題ない。
狗巻 あなた
ベンチ座ろっ
狗巻に促され、ベンチに腰掛ける。
究極メカ丸
…おォ

ベンチから見た景色は、それはそれは眺めが良く、
表通りと裏通りをほぼ真上から同時に見ることが出来た。
狗巻 あなた
お店一つ挟んだだけでこんなに違うもんかね
究極メカ丸
…皮肉なものだナ
狗巻 あなた
究極アルティメットくん難しい言葉使うね


お互い顔は見合わせず、しばらくの間無言で崖の下を見つめる。

狗巻 あなた
…あ、そうだっ

思い出したように狗巻は制服のポケットに手を突っ込む。
狗巻 あなた
見てみて、さっき買ったの、これ。

と、見せてきたのは……金平糖?

狗巻 あなた
……食べる?
究極メカ丸
…俺は何も食べれな
狗巻 あなた
知ってるよ。


今度は別のポケットから、金平糖にチャームが付いたものが出てきた。
狗巻 あなた
じゃーん。こっちはさっき
ガチャガチャでとってきたやつ。
究極メカ丸
……
狗巻 あなた
京都ってガチャガチャ豊富で良いよね〜
謎にテンション上がって楽しいし
究極メカ丸
…知ってたのか。俺のことハ
狗巻 あなた
うん。天与呪縛でしょ?
究極メカ丸
狗巻 あなた
……あれ?違う?
もしかして当てずっぽバレた?へへ


姉妹校交流会にて、パンダに放たれたある一言が、頭の中で反響する。


『だからって呪骸扱いされてキレんなよ』




…だから、いつの間にか諦めていた。
どうしても初対面の相手には呪骸扱いされてしまうことを。






それを当然のように覆した、狗巻 あなたこいつに、驚きつつも嬉しさを覚えたことに気付くまでに時間がかかった。


究極メカ丸
……よく知ってるな、その通りダ




ほぼ初めてに等しい感覚に少し酔い、狗巻の方を見つめる。



…すると、狗巻は真っ直ぐ崖下の方を見つめながら言った。






狗巻 あなた
私と同類扱いは嫌?




そう言った後、カクンと首を傾げてこちらを見つめる。




哀しそうな、淋しそうな、芯のありつつ渇いた目。


「ウワサくらいは、聞いたことあるでしょ?」


そう、問われているようで。






それは、間違いなく今までの目ではなかった。



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