終わった、か。
私はすとん、とその場に座り込む。
さっき相手していた呪霊は一体だと思っていた為、予想外ながら他にも呪霊が多く居たので多少疲れていた。
しかしいつまでもずっとそこに座り込んで居ても酷だ。さっさと高専に帰ろう。
私は立ち上がり、来た道をそのまま引き返した。
任務終了と思われたその瞬間だった。
ビクッと肩が上がる。とっさにジップを下ろす。
しかし___そのせいか、少し振り向くのが遅かった。
呪霊は私を押し倒し、大きな足で私を踏んだ。
咄嗟に息を呑む。
しばしの間呪霊の動きが止まる。
しかし……
私は私で吐血してしまう。思うように動けなかった。
それと同時に、この呪霊は二級ではないことが暗示される。
それでも私は、最後の力を振り絞る。
バァァァン
爆発音が聞こえた。
しかし、私は相変わらず呪霊に踏まれている。
どうやら力が及ばず、呪霊の腕だけが爆ぜたようだった。
何もできないまま、時間が流れてゆく。
無駄に抵抗しようとすると、本気で潰してくる。
ただでさえ、肩や腕、ふくらはぎと足首は使えないほどに潰されていた。
よく考えろ。
呪霊は私をしっかりと踏んでいる。そしてこれは明らかに二級ではない。下手したら特級クラス。
そして私は限界に達していた。呪言ももう使えない。
そのため呪霊は、私に攻撃をたたみかけてくる。
しかも一人。自分から秤との行動を避けた為それが裏に出てしまった。(かといって秤と行けばよかったとは思えないが。)
完全に不利。あまりに救いようのない状況だった。
ごめんなさい。私はもうここで終わり。
五条先生、秤…そして棘。半年後入ってくる後輩達にも、会ってみたかった。
私は覚悟を決めて、目を瞑った。
その時
聞き覚えのある声が聞こえた。
意識が朦朧とする中、やっとの思いで視界に映ったのは…
先生だった。
〜作者から〜
♡100!!!ありがとうございます!!!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。