そうだった。こういう人だった。
別に何のイベントもなければ、この人は至って通常運転。
通常とは言っても、この人は常人の通常とは違う。
何となくあなたさんが白髪のサングラスの男の姿と重なった。
間違いだった。昔のあなたさんのことを知りたいからと言って、無理にコンビニなんかに来る必要なかったのに。
はぁ、何やってんだ俺。
ウィーン
冷たい風が頬に触れる。髪が後ろに靡く。
秋の夜は冷える。コートを着て来て正解だった。
と、次の瞬間、肩に誰かの手がポン、と乗った。
急いで後ろを振り返る。______が、間に合わず、視界が真っ暗に染まる。
急いで大声を出そうとしたが、口を開けた瞬間タオルを口内に押し込まれる。
こいつ、慣れてる。
俺は何も出来ず、腕と脚を振り回したが、相手にもされず車の後部座席のような所に押し込まれた。
【あなたside】
満足げに袋を持ち、出口に向かう。
こんなにたまごを買ったのは久しぶりだ。
あ、たまごが一番好きな食べ物なので(*^ω^*)
ウィーン
自動ドアが開く。ふわりと風にのって髪が靡く。
見ると、そこにツンデレ君の姿はなかった。
慌てて左右を見ようとしたが、それより先に一台の車が目に止まった。
車は「やべ、見られた」というようにエンジンをかけていた。
よく目を凝らす。
と、そこには、目隠しをされているツンデレ君の姿があった。
猛スピードで車に駆け寄ろうとしたが、車も車で物凄い勢いで駐車場を離れていった。
私は急いで伊地知さんに電話をかける。
プーップーップーッ…
〜作者から〜
☆60ありがとうございます!!!!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。