第15話

既視感
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2021/03/27 20:00
狗巻 あなた
あ!あった〜!温泉たまご!
え?!味噌煮込みたまご??なにこれ美味しそ〜!
伏黒 恵
はぁ……
そうだった。こういう人だった。
別に何のイベントもなければ、この人は至って通常運転。
通常とは言っても、この人は常人の通常とは違う。

何となくあなたさんが白髪のサングラスの男の姿と重なった。
狗巻 あなた
ん?ツンデレ君?ため息?どーしたの?
あ、たまご欲しい?しょーがないなー私が買ってあげる!
伏黒 恵
いや…いいです…
間違いだった。昔のあなたさんのことを知りたいからと言って、無理にコンビニなんかに来る必要なかったのに。


はぁ、何やってんだ俺。
狗巻 あなた
んじゃ、会計しちゃうか。ツンデレ君外で待ってて!
伏黒 恵
……はい






ウィーン







冷たい風が頬に触れる。髪が後ろに靡く。


秋の夜は冷える。コートを着て来て正解だった。

































と、次の瞬間、肩に誰かの手がポン、と乗った。


伏黒 恵
?!
急いで後ろを振り返る。______が、間に合わず、視界が真っ暗に染まる。
急いで大声を出そうとしたが、口を開けた瞬間タオルを口内に押し込まれる。









こいつ、慣れてる。








俺は何も出来ず、腕と脚を振り回したが、相手にもされず車の後部座席のような所に押し込まれた。



















【あなたside】
狗巻 あなた
〜♪
満足げに袋を持ち、出口に向かう。

こんなにたまごを買ったのは久しぶりだ。


あ、たまごが一番好きな食べ物なので(*^ω^*)






ウィーン


自動ドアが開く。ふわりと風にのって髪が靡く。
狗巻 あなた
ツンデレく……
狗巻 あなた
ん……?
見ると、そこにツンデレ君の姿はなかった。

慌てて左右を見ようとしたが、それより先に一台の車が目に止まった。



車は「やべ、見られた」というようにエンジンをかけていた。







よく目を凝らす。






と、そこには、目隠しをされているツンデレ君の姿があった。






狗巻 あなた
ツンデレ君……!




猛スピードで車に駆け寄ろうとしたが、車も車で物凄い勢いで駐車場を離れていった。











私は急いで伊地知さんに電話をかける。

狗巻 あなた
もしもし伊地知さん?!
伊地知 潔高
どうしました?その声は…あなたさんですか
番号変わってなかったんですね
狗巻 あなた
そんなことより!!誰かにツンデ…伏黒くんが誘拐されて!!!
伊地知 潔高
伏黒君が?!……ちょっと待ってくださいね、車のナンバーは分かりますか?
狗巻 あなた
えっと、「め」の「1222」!
伊地知 潔高
「1222」…伏黒くんの誕生日ですね
狗巻 あなた
え?!そうなんですか?!
伊地知 潔高
はい…。12月の22日……ということは、犯人は伏黒君のことをよく知っている人物な可能性が高いですね…。
狗巻 あなた
分かりました。私は走って追いかけます。伊地知さんは随時情報を!!
伊地知 潔高
え、走っ……


プーップーップーッ…
狗巻 あなた
…待ってろよ、伏黒












〜作者から〜





☆60ありがとうございます!!!!!

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