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第6話

ホントの気持ち (チョロ松sind)
386
2020/02/26 04:12
チョロ松くん
チョロ松くん
あのさ…
一松が、俺のことをチラ見して、目が合えばスグに反らしている。

今の一松は、恋する乙女みたいだな。
一松くん
一松くん
ナ、ナンデショウ
一松は、カタコトな返事をしながらも、俺の方へ顔だけは向けたが目は反らしたままだ。

気に食わないな。

話は、目を見て聞くものだろ?
チョロ松くん
チョロ松くん
おい、目を見ろよ。
口が悪いのは分かってる。

でも、世間一般な事は出来てもらわないと困る。

だから、厳しく言うんだ。

まぁ、俺に関しては厳しく言い過ぎらしいけど。

一松は、ビクッと肩が跳ねたかと思えば涙目になる。

またか。

実はコレで3回目だ。

前は、十四松やトド松を今みたいに泣かしたんだ。

十四松に関しては、泣きながら一松にチクりやがってさ。

“チョロ松が、ぼくの事をイジめた”って一松に抱き着きながら言っていたのを嫌でも聞こえてきて、その日は一松に冷ややかな目で睨まれたっけ?

トド松の時は、カラ松から殴られた。

“末っ子を泣かせるな”

カラ松の口から放たれた、“末っ子”って用語には今も引っかかる。

トド松が末っ子??って。

トド松には、他の家の兄弟の末っ子が持つ様なポテンシャルが見られない。

ワガママな所は末っ子その者だが、甘えん坊って感じは全然ない。

一人じゃ何もできない、やらないのは俺から見たらワガママにすぎない。

トド松は、喧嘩やイタズラに積極的なノリのいい奴だ。

だから、嫌いではない。

でも、女の子に対して馴れ馴れしい所は気に食わない。

馴れ馴れしい所を直せとアイツの為に言っただけなのに、“オレの事、嫌いだからそうやっていじめるんだろ?”って泣きながら呟き、去っていくトド松の後ろ姿は未だに忘れられない。

僕って…ダメな兄貴だな。

六つ子だから、上下関係気にしてないし、いらない物だろとか思ってるけどさ。

やっぱり、長男と末っ子だけ分かってるとなると、自分は何番だ?って気になって来たりする。

そんな事を考えていたら、ずっと黙って泣いていた一松が口を開いた。
一松くん
一松くん
ご…、ごめんなさい…。
ちゃんと、見ないと駄目なのは分かってます。
でも…でも…!
チョロ松の顔だけはどうしても見れないんだ!
チョロ松くん
チョロ松くん
え…。
いや、僕だけ見れないとかなんだよ!

地味に悲しくなるぜ?

一松の顔を見れば、さっきより赤くなっていた。

おいおい。冗談寄せよ。
一松くん
一松くん
あ、違う!
その…あの…!/////
口籠る一松。

それを見て、また僕はイライラしだす。

男のクセにモゴモゴと!
チョロ松くん
チョロ松くん
おい、はっきり言えよ!
俺が嫌いなら嫌いって面と向かって言えよ。
男だろ?!
男がウジウジ、ウジウジ。
気持ち悪いんだよ!
俺はホントの事を言った。

そしたら、また焦りと動揺からか涙をボロボロ流しながら、“違う…違うのに…”と言っている一松。

あぁ、イライラする。

おそ松が言ってた、“考えすぎてストレス溜め込んでハゲるぜ?”はこの事か。

うぇ、ハゲたくねぇ…。
一松くん
一松くん
嫌いじゃない!寧ろ、好きだよ///
好きだから、顔が見れないんだい!///
見るとドキドキして、ココがキュッと締め付けられる感じに苦しくて…痛くて…だから!////
チョロ松くん
チョロ松くん
なっ!おまっ!////
自分でも赤くなるのが、嫌でもわかる。

心臓の動きも速くなる。

一松は同じ顔で六つ子の一人だ。

兄弟でしかも男同士。

いや、別に僕は男もイケるから構わないけど…。

まさか、怖がられていて、最悪嫌われているだろう相手の一人から、熱烈な告白を受けるとは。

なんで、怖がられているかって?

それは…まぁ、色々あったからだい。

詳しくはネタバレだから言わないけどな。
一松くん
一松くん
ゴメンね。
気持ち悪いよね?こんな…兄弟で男同士で…。
でも、チョロ松に鞭で叩かれていくにつれて好きになっちゃったんだい。
自分でも自分が恐ろしいよ。
それに…男を…しかも兄弟を恋愛対象に見ちゃったから、誰にも相談も出来なかったんだ。
苦しかった。でも、この気持ちも今日で終わりにするから!
気持ち悪いも何も、俺はバイ(バイセクシュアルの略)だからな。

男からの告白にも、キスにも何とも思わないんだよ。

バイは簡単に言えば、両性愛者だ。

両性愛者は、同性、異性どちらも恋愛対象に見れる人のことだぜ?

僕は、その部類だから一松と付き合う事だってできる。
チョロ松くん
チョロ松くん
気持ち悪い?
何言ってるんだよ。
俺さ、両性愛者だから男も恋愛対象に見れるんだよね。
だから、泣くな。
お前の気持ちは嬉しいし、好き言われて悪い気しねぇーよ。バーカ
俺は、笑顔で一松に返事をする。

一松は、“本当?”って言いたげに顔を上げた。

つか、まだ信じてないみたいだな。

こんな奴には、あの手段で分からすしかないよな。

僕は、身を乗り出して一松の右頬に手を添えた。
一松くん
一松くん
え…チョ…ロ…ま…ふ(つ)!ん…/////
言い終わる前に口を塞いでやる。

まぁ、軽いものだからスグに離す。

一松は、さっきまで赤くしていた顔を更に赤くさせていた。
チョロ松くん
チョロ松くん
プッ…りんご病か?w
一松くん
一松くん
最低…////
えぇ…怒られた。
チョロ松くん
チョロ松くん
なんでだよ!
お前の好きはコッチの意味だろ?
一松くん
一松くん
そうだけど、チョロ松は本気じゃないじゃないか。
軽い気持ちでされたって嬉しくないよ!
軽い気持ち…。

そう言われたよりも、自分を否定されたのが嫌だったのか胸が痛む。

謝るしかないよな。

一松が望むものは、両思いだけだと思ってたから油断した。
チョロ松くん
チョロ松くん
悪かった…。
一松くん
一松くん
やっぱり…軽い気持ちだったんだな…。
酷いよ…。
期待させるだけさせてさ。
そこがチョロ松の悪いとこだよ?
正論を言われて、俺は沈む。

初めて負けた。

胸の痛みはさっきより酷く、締め付けられる感じが加わった。

コレじゃ…まるで…。
チョロ松くん
チョロ松くん
なぁ…一松…。
俺は、一松の右手を掴めば自分の胸に当てた。

一松はまたもや動揺する。

さっきまでの怒りは無くなり、その代わりに空いてる方の手で顔を隠す仕草をしていた。

待てよ?

コイツ…めちゃくちゃ可愛くね?
一松くん
一松くん
この感じ…もしかして…///
チョロ松くん
チョロ松くん
あぁ。
俺もお前と同じ気持ちって事だ。
コレで、さっきのキスは軽い気持ちじゃねぇって信じてくれるよな?
一松くん
一松くん
うん…/////
信じる…////
ちょ、今デレたのか?可愛すぎだろ。

このままじゃ、僕の理性のほうがやべぇわ!

てか、なんだよこの流れ!

隠し事を聞き出すつもりが説教して、そのまま好きだと告白されて、最初は軽い気持ちでしたキスだったけど一松に泣かれて、胸のあたりが痛んで…今に至るって。

急展開すぎるだろ!意味わからねぇよ。

……。

つまり僕は、無意識に一松を好きだったってことなのか?

確かに、一松は声が高くて可愛いな思ってたけど。思ってたけど!

それが、恋愛感情だなんて誰だって思わねーだろ!

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