日が落ちてきていた。
そう言いながら髪や服を気にしている。
楓は瀬戸屋を出た。
でも。
「大丈夫か??」
「恥ずかしいよな?電気消そうか」
「ほんとにやめたくなったらすぐ言ってな?」
「大丈夫、俺も緊張してるから。お互い様。」
そう何度も優しく声をかけくれて
自分に寄り添ってくれて
本当に嬉しかったな…
マフラーに顔を埋めて
そのまままっすぐ帰った。
21時半。
瀬戸は閉店の作業を終えて部屋に戻っていた。
ベッドに寝っ転がりチョコクッキーをつまむ。
ピロン
その文と一緒に送られてきたのは
楓が一生懸命生地をかき混ぜている写真だった。
愛おしさで胸が苦しくなった。
夕方のあの時も…
そう言って微笑んだ楓が愛おしかったし、
自分のために最後までついてきてくれたことが
とても嬉しかった。
絶対に楓を守り続ける…。
大切にし続ける…。
疲れがドッと押し寄せてきて
瀬戸はそのまま寝てしまった。
2人の愛がより一層深まったバレンタインだった。
続く。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!