第4話

第4話

長くなってしまったけどまぁこれが、私が篠原くんに一目惚れした日の出来事である。

あの後、友達に篠原くんの話をすると偶然にも同じ学年だということがわかった。


でも、もう話すことなんてないだろうな……なんて思っていたら運は私に味方した。


2年生のクラス替えで篠原くんの同じクラスになったのだ。

無意識に男子の名前の欄に篠原の文字を探していて、見つけた時は本当に嬉しかった。


そしてもう1つ、

篠原くんの方も私を覚えていてくれたのだ。


「あの時は本当にごめんね」なんて言われて。

また話せるなんて思ってもみなかったから本当に幸せな気持ちでいっぱいだ。


これだけでも幸せなのに私は貪欲だ。


もっと篠原くんに近づきたいなんて思っちゃったり、私の気持ち知ってもらいたいなんて思っちゃったりして……。

篠原くんが私なんかに興味がないのは十分わかっているのに少しだけと手を伸ばしてしまう自分がいる。




それに、今年絶対に渡さなきゃいけない理由がある。

それは、来年の今頃は自由登校に入っていて理由がないと篠原くんに会うことが出来ない。

理由をつけて会う勇気はないし、理由無しに会うほど仲がいい訳でもない。


理由無しに会ってチョコを渡す機会は今日しかない。


私は篠原くんの下駄箱の前で1度目をつぶって腕の中にある赤い箱をギュッと抱き締める。


箱の中には昨夜作ったガトーショコラが入っている。

何回も何回も失敗してようやく出来た最高傑作だ。

渡さなかったから絶対にこの先後悔する。



後悔だけはしたくない。


意を決して目の前の下駄箱の扉に手を掛ける。