ヤチヨ・リュンヌ、かぐや・彩葉のライブ前日。
かぐやたちの家には織姫が訪れていた。
とても大きな花束を持って。
にっこりと微笑んだ織姫がかぐやの頭を撫でてやれば、
その胸で赤い石が揺れた。
彩葉の言葉に優しい笑みを浮かべた織姫は、大切そうにそれを握りしめた。
それだけでも、織姫がどれだけそれを大切にしているのかがよくわかる。
だが、それにはいささか疑問が残る色をしていた。
まるで、似合わない色を無理矢理つけているかのような・・・。
かぐやと彩葉の問いに、織姫は静かに首を振った。
その後、流れるように唇に人差し指を当ててウィンクする。
そして。
どこかいたずらっ子のような声を出した織姫。
普段は見せない新しい一面に、かぐやは織姫に飛びついて、抱きしめているし、彩葉は彩葉で感動しているのか、涙を流している。
それを見た織姫は、一瞬だけどこか寂しそうに目を伏せた。
それは一部のことだったため、かぐやたちは気づくことはなかったのだが。
織姫の言葉に、かぐやは首を傾げた。
他のブラックオニキスメンバーと違い、ヤチヨ・リュンヌやかぐや以外とはあまりコラボしない織姫に、友達がいるとは思えなかったのだ。
そういった織姫は、にっこりと微笑みながらかぐやのほっぺを解放した。
おだやな笑顔を浮かべた織姫は、どこか不満そうな顔をしているかぐやの頭を無でた。
その手があまりにも優しくて、暖かくて。
まるで、お姉ちゃんのようだ。
そんなことをぼんやりと考えていると、かぐやの頭から織姫の手が離れた。
図星だったのか、少しばつの悪そうな顔をする彩葉。
織姫はそんな彩葉の頭を少しだけ撫でてやった。
そして、織姫はにっこりと微笑む。
なぜか、言い合いを始めてしまった彩葉とかぐや。
でも言い合っているはずなのに、どこか楽しそうで。
織姫はその様子を見て、安心したような穏やかな笑みを浮かべた。
かぐやの問いに、織姫は静かに目を伏せた。
その姿は相変わらず美しくも儚い。
だがこの、その一方で・・・。
まるで死にかけの蝶のような、短い命を必死に輝かせている蝉のような。
なんとも言えない危うさを孕んでいる。
思わず、かぐやと彩葉も一瞬呼吸をすることを忘れてしまった。
中途半端に開いたドアの外から覗く、月の光を背にした織姫。
儚げで、優しげで、それでいて悲しそうで。
あまりの美しさに、目が反らせない。
頭がぼーっとして、何も考えられなくなった彩葉とかぐやが意識を取り戻したのは、ドアが閉まってから数秒経った後だった。
ハッとした二人は、顔を見合わせる。
笑顔のかぐやが彩葉の背中を押して、寝室へと入っていく。
その様子を、ドアの向こう側から見られていることには、気づかずに。
かぐやと彩葉、そして織姫が住むマンションの前に立つ高層ビル。
月の光が、まるでスポットライトのように男を照らす。
その顔は気味が悪いくらい醜く歪んでいた。
その最上階で足を組むのは、一人の男。
男は丸めた手の間から、かぐやと彩葉の部屋を眺めていたが、飽きたのかため息をついて立ち上がった。
「ヘケケ」と独特な笑みを浮かべた男は、月を見上げた。
その後ろで静かにドアが開く。
現れたのは、頭に神輿を担いだ淡く発光している白い人。
人と呼べるのかも微妙なその存在は、無言で気だるげに足を組む跪いた。
月の光が、まるでスポットライトのように男を照らす。
その顔は気味が悪いくらい醜く歪んでいた。
今回の話も読んで頂きありがとうございます!!!
今回の話の最後に出てきた人と呼ぶには奇妙なもの、これが誰なのか、わかります?
わかりますよね?
多分みなさんが考えているので、合ってると思います!
さぁ、これからどうなりますかね!?
さてさて。
今回もAkariさん、スポットライトありがとうございます
他の方も長い間、この話の続きを楽しみにしてくださり、ありがとうございます!!!!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。