先輩との1年はあっとゆう間で
もうすぐ春になる。
そう、もうすぐに卒業の季節。
私の思いとは裏腹に、暖かくなる気候と膨らむ梅の蕾。
節分は何も無かったし、バレンタインも結局、義理チョコってことで、軽音楽部の部員全員に配っちゃった……。
そう言えば、もうすぐ春夏秋冬主催のライブがあるんだっけ?
楽しみだなぁ…
時期は梅の花が咲いた時。
曖昧だけど、梅の花を背景に演奏するんだろうな。そしてそれがきっと先輩のラストライブになるんだ。
そう思っていると、目のふちが熱くなって、視界がゆらゆらと波打つようにわるくなった。
悲しい、いやだ、先輩と別れなくない。
まだ好きの一言も言えてない。
なのに……。
チキンハートな自分を憎んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!