side:平野
走った方に瀬戸の姿は見えなくて 。
その辺をグルグル探し回ったけど
なんか同じところ回ってるような気がする ←
そんな時 、どこかで誰かの泣く声が聞こえた 。
「 っふぅ 、うう 、ヒック 、はぁっ 、泣 」
『 っ 、!あなた 、!!!!!!!』
気づいたらそう叫んでた 。俺が瀬戸に
駆け寄ると 、瀬戸がいきなり抱きついてきた 。
え 、え 、え 、なにこれ至福すぎる 。
ってそんなこと思ってる場合じゃねえよ 。
… こんなに瀬戸って弱かったっけ 、
こんな小さくて壊れちゃいそうだったっけ 、
昔の瀬戸とは影も形も似ていなかった 。
瀬戸「 っはぁ 、ヒック 、泣 」
『 … いつまでビービー泣いてんの 』
瀬戸「 … 泣いてっ 、ないし 、グズッ 泣 」
『 あっそう 』
瀬戸「 … 離してくれないのそっちじゃん 、泣 」
『 ……… 泣いてるのに
放っておくわけないだろ 』
瀬戸「 … っなんで今更 、優しくすんの 泣 」
『 … 分かんねえよ 、自分でも 』
瀬戸「 … 泣 」
『 … 大丈夫か 、』
瀬戸「 … っだいじょう 、ぶ 、ズズッ 泣 」
『 ちょ 、まだ立ち上がんなって 、!』
瀬戸「 離してっ 、!泣 」
『 っ 、』
あなたの爪が引っかかってピッと
俺の指が切れた 。皮膚の合間から滲む血 。
あなたはそのまま奥の方に走っていった 。
… ははっ 、血ってしょっぺぇな 。
『 … " ガチャ " 』
岸「 おかえり〜〜〜〜 」
岩橋「 その様子じゃ粉々になったみたいだね 」
神宮寺「 ちょ 、紫耀指切れてんじゃん!
海人 、棚から救急箱取って!」
髙橋「 はーーーいっ 」
『 … なんで廉寝てんの?』
岩橋「 あー 、泣き疲れたんだと思うよ 」
神宮寺「 廉のことは俺らでサポートしとくから
紫耀はしっかりあなたのこと見てろよ 」
『 … 』
そういえば最近廉のことなんも気にして
なかったな … あなたのことばっかだった 。
俺もかなり今回のことショックだけど廉だって
相当関西好きだからな 、… あーっ 、どうしよ 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!