濵田side
今日は指輪はやめよう。
マネージャーにネットがやばいと言われ
俺は今日はあの日貰った指輪と同じ飾りが付いてある
あなたから貰ったネックレスを服の下につけた。
メンバーと一緒に最後の確認。
立ち位置やカメラと証明の確認。
それも終わって俺らはまた楽屋に戻った。
俺はソファに座ってその隣にしげが座った。
かっこよく足を組みながら隣のしげはそう言った。
俺もなんか恥ずかしくなってカバンの中の携帯を
とって触りながらしげの話を聞いていた。
サビの歌詞を昔の自分と重ねていたリハーサル。
「好きだよ。ねぇ好きだよ。君のことが。」
その一言さえも言えずに俺らは離れた。
住む世界が変わった。
かけがえのない人へ伝えられなかった。
でもこのライブが終わったら
「好きだよ。ねぇ好きだよ。君のことが。」
その一言が言えるって思うと
この曲を歌って少し早めに俺の思いを届けたい
って思った。
全てはプロポーズに思いを込めたい。
なら最初は俺らに合う、俺に合う
歌を歌って伝えればいいってそう思った。
バシッと力強く俺の背中を叩いたしげ。
最初は痛っ!って思ったけど
それのお陰で俺もちゃんとせなって思わせてくれた。
メイクに行くために静かに立ったしげは
そのまま自分が持ってきたワックスをカバンから
出してポケットに入れた。
俺の前を通って楽屋から出ようとしたしげだから
俺の前に立って中々楽屋から出ようとしなかった。
俺の言葉を重ねるように言ったしげは
またそのまま耳を赤くして楽屋を走って出て行った。
「大丈夫、会えない時間が愛を増す」
あなたもこの曲を聞いて更に愛を増して欲しいな。
俺はもう既にこの曲を歌う歌わない限らずに
更に愛は増しているから
その愛があなたに伝わるように歌わなあかん。
きっとしげはあともう少しで会える
この残り僅かな一人の時間を後押しするように
言ってくれたのかもしれない。
それともちゃんとあなたに届けなあかんでって
言う男としてのケジメの意味なのかもしらん。
そして本番20分前…
俺はよくあなたと2人で気合い入れをした
思い出のある廊下に向かった。
何も変わらないあの時のあのまんま。
あなたがちょっと落ち込んでいたら
俺がここの自販機であなたが好きな飲み物を買って
励ますまでが俺の役割やった。
…でもいつからやっけ?
そんなのが出来なくなったの。
俺が励ましてもらいたくて精一杯だったのは。
その日からずっと あの日からずっと
俺のお守りとして持っていたあなたからくれた
プレゼント。…ネックレス。
そのネックレスを1回外して手に取って
両手で優しく包みこんだ。
そしてまたいつものようにあの言葉を唱えた。
数秒間目を閉じてここでの過ごした濃い日々を
思い出した。
あなたが俺の背中を叩いて勇気を出してくれたこと。
あなたと俺が緊張してたら手を繋いだり
抱きしめあったりしたこと。
ジュースのジャンケンで俺がわざと負けたこと。
…流石に年下の女の子にジュースを買ってもらう
なんて絶対に許せられなかったから。
俺はこんなアホやけどちゃんとした男やから…。
ゆっくり俺ららしく確かに俺らは足跡を付けた。
どれもどれも宝物でまだ思い出す。
どんな景色でもあなたがいたから
見たい景色も叶えたい夢も意味があった。
全部全部輝いていた。
でも今は…
俺の隣にはあなたは居ない。
俺の背中を叩いてくれるのも
抱きしめてくれるのも
手を優しく繋いでくれるのも
全部全部無くなった。
俺はちょっと心配やった。
今回松竹座で生配信ライブが行われる事に。
俺はちゃんと楽しめるのかなって。
ただただ不安やったし心配やった。
ジャニーズWESTとして楽しめる事ができるのか。
「夢色クロニクル」俺はちゃんと歌えるやろうか。
2人に駆け寄って舞台裏まで一緒に歩いた。
誰よりもあなたへの思いが強い兄組。
弟組はちゃんと関わったことがないけど
たまにあなたが働くカフェに行っては
話して盛り上がっている分
あなたへの思いもちゃんとある。
だからやと思う。
俺があなたへの思いを込めて
きみへのメロディーを歌いたいって言って
更に俺が歌割りを変更したのにも関わらず
笑顔でふたつ返事で答えてくれた。
ええじゃないかも
夢色クロニクルも
きみへのメロディーも
全部全部あなたに届くように思いを込めて歌ってやる。
また首につけたネックレスを手で触り
あなたの笑顔を思い出していた。
しげちゃんドラマおめでとう🎊
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!