桐山side
〜現在編〜
カフェに来る前の楽屋は歓喜で溢れていた。
どうやら淳太くんが先にもう伝えていたらしい。
…濵ちゃんに。
俺が楽屋に着いた時には目を輝かせている
濵ちゃんとそれを嬉しそうに見守っている
淳太くんが揃っていた。
でもここ最近ありがたいことに俺らの仕事は多く
中々そのお店に行く時間も限られていた。
携帯のカレンダー機能で予定を確認した濵ちゃんは
そのままカレンダーを俺らに見せてきた。
確かに濵ちゃんの携帯には
来週までパンパンに詰まっている予定やった。
俺も淳太くんと話し終わって
携帯を出して濵ちゃんと同じようにカレンダー
機能を確認した。
今日は午後まで仕事があり俺は今日は終わりだが
濵ちゃんと望としげは日付が跨ぐギリギリまで
仕事が入っていた。
俺このまま仕事終わったらあなたに会いに行こっかな。
そして今に当たる。
カフェから近い大きなお店に入って
あなたから頼まれたものを籠の中に入れて行く。
…ついでに拓哉のお菓子も買って行くか。
お菓子コーナーへと進んで行くと
見慣れた姿を発見した。
あなたが体調不良でレッスンを暫く休んでいた時
淳太くんと濵ちゃんと一緒に行ったことがある。
その時はあなたのお母さんが居らず
あなたのお姉さんが中に入れてくれて
そこで少し話した程度。
大倉くんが手に持っていた荷物を俺の籠に入れて
レジまで持って行った。
まだあなたと久しぶりに会って数日しか経ってない
けど大倉くんの言った通り何も変わってない。
笑顔も癖も声も身長も…。
また俺らはこうやって集まれるんや。
あなたとまた青春過ごせるんや。
ボーッとしてたらいつの間にか袋に入れ終わって
居て大倉くんに置いてかれそうになった。
一緒に外出てカフェまで向かう。
もしここにあなたが居て拓哉が居たら
理想の光景やろうな。
それを出来るのは 叶えられるのは俺やないけど
素晴らしいものに変えてくれる人を
最適な人を俺は知ってる。
それを出来るのはそいつだけや。
俺が居る時とは違うそいつだけに見せる笑顔が
あなたは1番輝いてるから。
きっと8年経ってもそれは変わらないと思う。
伝えるつもりはない。
今も過去も未来も。
…いや伝えられなかった俺の弱さもある。
俺のこの恋心もどうか救って
目の前でやっぱり俺じゃないなって
思わせて欲しい。
この未来が、1番正解やって。
1番理想の光景を叶えてくれると信じてる。
俺も淳太くんも。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。