貴方side
〜現在編〜
カフェに入ると私が予約席用に確保していた
テーブル席に既に4人は座っていた。
私は慌ててお水とお手ふきを持って行った。
小瀧さんは1番手前に座って私の目を見ながら
順番に今日一緒に来てくれた方を紹介してくれた。
よろしくお願いしますと頭を下げたメンバーさん。
私がそう言うと重岡さんは良かった〜と言いながら
不思議なところに笑窪を出しながら笑った。
重岡さんは顔を赤く染めてしまった。
耳も赤くなっていてその熱を冷ますように
重岡さんは一気にコップに入っていた水を
飲んでしまった。
新しい水を持ってこようとすると
大きな声で小瀧さんが私の名前を呼んだ。
慌てて近寄ると小瀧さんは何故かニコニコしていた。
メニューを渡してないのに飲み物をオーダーした。
…そうじゃん、私何やってんの…。
メニューも渡さないでお水持ってこようとしてた
なんて…。
慌ててメンバーさんの飲み物を入れて持って行く。
飲み物を渡した後少し皆だけの空間にさせようと
お盆を持って下がろうとしたら
エプロンをキュッと誰かに引っ張られる感覚があり
振り返ると小瀧さんが引っ張っていた。
特に注文を間違えてないから何だろうと思っていると
私よりはるかに身長が高いはずにに小瀧さんは
私に上目遣いでそう言った。
それがあまりにも可愛くて…
でも私もお皿を洗ったり色々としなきゃ行けない
事もある。
シュンと音が着くように落ち込んでしまった小瀧さん
を見ると流石にキッチンの方に向かうことが出来ず
そう返事してしまった。
パァ〜と効果音が付きそうな笑顔を見せて
小瀧さんは私が座る席を作ってくれた。
一旦離れてキッチン戻り暖かい紅茶を準備した。
ポットに紅茶を入れて別にコップを用意し
お盆に乗せて皆の席に向かって
小瀧さんが空けてくれた座席に座った。
私が飲み物を持ってくると皆がいっせいに
自分たちが注文した飲み物を飲み出したり
喋りタイムが始まった。
私の目の前に座っている重岡さんが
姿勢を正して私に向かってそう言った。
私も姿勢を良くして重岡さんが私に聞きたいことを
ちゃんと聞くことにした。
周りのメンバーさんも各々喋っていたことを止めて
重岡さんと私の方に向き直った。
私の知らない崇裕。
もしかしたら皆の方が私よりも知っているかも
しれないのに…。
初めて知った事実に正直戸惑ってしまった。
ゴクッと飲み物を飲んだ重岡さんは
フゥ〜と息を吐いて優しく笑った。
重岡さんが携帯を取り出して私に見せてくれた。
そこには前に淳太くんが見せてくれた
ブログの内容だった。
藤井さんが携帯を私に見せてくれて
動画を再生してくれた。
そこには私が昔クリスマスプレゼントとして
あげた薄い紫色と薄い白色の宝石が付いた
ネックレスを手に取って
自分の胸にそのネックレスを近づけて
下を向いて目を閉じて小さな声で唱えていた
崇裕が居た。
崇裕はネックレスとかそんなの付けないって
後から聞いたから使わなかったら捨ててと伝えた時
これは宝物やから捨てへんよ。と
付けてる所は見たことなかったけど
毎回ズボンのポケットや財布の中に入れている
ことは知っていた。
まだ暖かい紅茶を口にして静かティーカップを
お皿の上に置いたら隣の小瀧さんが私の腕を
引っ張った。
小瀧さんは自分のバックから白い封筒を私に
差し出した。
白い封筒を開けて中のものを取り出すと
そこには…
「お願いします」と全員が頭を下げた。
このチケットを貰ったから以上勿論見るし
なんなら自分のお金で買うつもりだった。
下がっていた頭を全員が上げると皆は顔を見合わせて
笑いあった。
それから私たちは空が暗くなるまで話していた。
重岡さんから私は皆の先輩なんやからタメ語でいい
と言ってくれたがもう他人だし友達感覚でいいと
私に対してもタメ語でいいと許可を出した。
後もう少しで18:00。
小瀧さん達はまだ帰る様子もなく飲み物が進んで
いた。
一旦空になった皆のコップを下げて
冷蔵庫に何があったかを確認して
皆と食べる晩ご飯の準備をした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。