第9話

イヤモニが白色の理由⑨
3,288
2020/09/19 04:58
濵田side
〜現在編〜
ある日の楽屋。
俺は楽屋のテレビを見ていた。
他のメンバーは俺らの後ろで話をしている。
何話してんのかなと後ろを振り返ると
照史と淳太が弟組に囲まれながら
あなたについて聞かれていて2人も
質問されたことを丁寧に答えていた。

2人から話を聞けば聞くほど弟組は
「会いたいなぁ」とか「すげぇ!」と
声を上げていた。

会った事がない弟組でさえも
話を聞くだけで会いたいと言ってくれた。

あれから時間は経つのにそれでもまだ
愛されているあなたにすごいなって思った。
ホンマに惜しい存在やなって…更に思った。

それに俺自身も
まだあなたのこと好きなんやなって確信した。
小瀧望
小瀧望
…まだ好きなん?
あなたさんのこと。
濵田崇裕
濵田崇裕
…そりゃな。
って、気付いてたん!?
小瀧望
小瀧望
うん。あの…。
バレバレ。
濵田崇裕
濵田崇裕
まじか…。
小瀧望
小瀧望
会わないん?
濵田崇裕
濵田崇裕
…そんなん居場所分かってたら
すぐにでも会いに言ってるわ笑
小瀧望
小瀧望
案外近くに居たりして?
濵田崇裕
濵田崇裕
それやったら嬉しいわ。
 後ろからぴょこっと顔を出した望が
俺に質問攻め。
まさか望に恋心がバレてたなんて…。

望はまだ俺と話したいのか
俺の隣に座ってきた。
…と思ったら膝枕してきて俺はそのまま受け入れた。
小瀧望
小瀧望
…歳は?いくつ?
濵田崇裕
濵田崇裕
俺より3歳下や。
…やから今28歳やな。
小瀧望
小瀧望
ってことは
もう結婚して子供がいても
おかしくないってことか。
…‪…どんまい。濵ちゃん。
濵田崇裕
濵田崇裕
お前っ…。
…まぁでもあなたが幸せなら
俺は十分嬉しいで。
俺はあの時何も出来へんかったから…。
ほんまに幸せやったらそれでええんよ。
小瀧望
小瀧望
でもそれやったら
濵ちゃんの恋…。
濵田崇裕
濵田崇裕
…‪…もう8年や。
今更もし会えて
あなたが結婚してなくて
それがチャンスやったとしても
俺は告白するなんて…。
多分出来ひんと思う。
あなたの事や。きっと責めてまうから。
それに今はどちらかと言うと
応援したいかな。
あなたのこと。
ジャニーズWEST全体で
あなたのこと応援したい。
小瀧望
小瀧望
…‪…ふーん。
望はそのまま何も言わず目を閉じた。
…と思ったら目を開けて
俺の顔を攻撃しに来た笑
ホンマに犬や。こいつは。

…なんかこんなん前にもあったな。
…あぁ、1発めぇぇぇぇぇぇぇのメイクングか笑笑
濵田崇裕
濵田崇裕
もう〜。なんやねん笑
テレビ見させてや笑笑
小瀧望
小瀧望
…可愛ええなぁ?濵ちゃん。
濵ちゃん!濵ちゃん!
濵田崇裕
濵田崇裕
だーーーもお!!!!
そんな時楽屋の扉がコンコンとノックされた。

スタッフさんが呼びに来てくれたのかと思って
淳太がゆる〜く返事をした。
でも扉を開けた人はスタッフさんでもなく
扉を開けてそこに立っていたのは先輩の
横山くんやった。
俺らは横山くんだと気がつくと
全員立ち上がっておはようございますと頭を下げた。
横山裕
横山裕
おう、おはよう。
…濵ちゃん居るか。
濵田崇裕
濵田崇裕
はい!居ます!!
横山裕
横山裕
はい。これ。
俺のファンレターの中に
混ざってたんよ。
渡さなと思って…。
…その子に返事書いたって。
俺も間違えて読んでしまったんやけど
凄い濵ちゃんに熱い想い書いてたから。
濵田崇裕
濵田崇裕
…分かりました!
態々ありがとうございます。
横山くんから薄紫色の封筒を貰って
そのまま横山くんはその薄紫色の封筒を
優しそうな目で見ていた。
…横山くんはそのまま「じゃあ」と言って
楽屋を後にした。

まだ時間があるからと俺はソファーに座って
横山くんから貰った薄紫色の封筒から
手紙を取り出して読もうとした時
中から何か落ちて慌てて拾った。
ファンレターは物入れたらあかんのにと
思っていたが
そんな思いはすぐに消えた。
落ちたものは俺しか知らない大切なものやったから。
濵田崇裕
濵田崇裕
……っ!?
あなた!!
それは紫色のイヤモニやったから。
中間淳太
中間淳太
…あなた?
桐山照史
桐山照史
あなたからなんか!
俺が大声であなたの名前を呼ぶと
淳太と照史がソファーの方に来て
俺の両隣に座った。
濵田崇裕
濵田崇裕
…このイヤモニはあなたがつけてた。
やからあなたしか持っていないんよ。
中間淳太
中間淳太
…読み?
8年越しの思いや。
いっぱい詰まってると思うし。
桐山照史
桐山照史
…せやな。
あなたが今届けたい思いが
詰まってると思うから。
濵田崇裕
濵田崇裕
…おん。読むわ。
懐かしいイヤモニを丁寧に直して
ソファーの目の前にある机に静かに置いた。

そして薄紫色の封筒から便箋を取りだし
2つ折りされた便箋を開いて読み出した。

何も変わっていないあなたの字に安心しつつ
懐かしさも混ざって涙が溢れそうやった。





✉崇裕へ。
お元気ですか。元気だったら嬉しいです。
初めての手紙に緊張しています。
私は崇裕に謝らなきゃいけないことがある。
8年前勝手に消えてしまってごめんなさい。
勝手に傷つけて勝手に泣かせて
勝手に不安にさせて。
ごめんなさい。何度も謝りたいけど
謝りきれない。
8年前の崇裕の気持ちを考えると
本当に最低なことした。
私は崇裕に言ってないことがあった。
私は生まれつき喘息を患っていた。
かなりの重症で、私が幼い時
通院と入院が毎日のようだった。
私が入院していた時1人で窓に向かって歌ってた。
その姿をジャニーさんに見つかって
そのまま話をしてそのままスカウトされて
退院したら事務所に行ってそのまま私は
ジャニーズ事務所の1人とタレントになった。
私の周りには男の子ばっかりで
どうしていいか分からなかった私に
声をかけてくれたのは崇裕たちだったよね。
今でも鮮明に覚えています。
私が嫌がらせをされてた時も
必ずそばにいて助けてくれて守ってくれて。
感謝してもしきれない。
本当にありがとう。
私が辞めた理由はその喘息が悪化したから。
レッスン数週間前の定期検査した結果
検査結果が悪化して入院が必要と言われたから。
それだけじゃなくてドクターストップも
出されて私はそのまま事務所を辞めた。

悔しかった。
もう崇裕に会えないって思うと
もう崇裕と夢を叶えられないと思うと
もう皆に会えないって思うと
涙が止まらなかった。

そしてそのまま何も言わないまま8年経った。
いつか必ず言わなきゃ言わなきゃって思ってた。
こんなに遅くなってごめんなさい。
そしてこんな形でごめんなさい。
許して欲しいとかそんなことは思ってない。

8年間間違いなく私は崇裕を苦しめてたと思う。
帰ってくると信じてずっと待ってて
でも帰って来なくて気がつけば1人だけ
デビューして…
もしかしたら崇裕も自分のこと
私みたいに責めてたと思う。

崇裕は責めないで。崇裕は何も悪くない。
何も出来なかった。してやれなかったって
思わないで欲しい。
何も言わずに消えた私が全て悪いから。

1人で無理させてごめんね。

こんな私だけど遠く離れたところから
ずっと崇裕のこと応援してる。
崇裕なら私たちの夢叶えてくれるって
ずっと信じてるから。

崇裕は崇裕らしく輝いて。
白色のイヤモニずっとつけてくれてありがとう。

大好きです。今は1人のファンとして。
ずっと崇裕のこと愛しています。

あなたより。
濵田崇裕
濵田崇裕
……っアホ。
手紙を読み終えた俺は涙が止まらなかった。

会いたいのに 会いに行きたいのに
それが出来ないから余計に腹立つ。

会って抱きしめたらどれだけ楽だろう。
会って8年分の俺の思いを伝えられたらどれだけ
いいだろう。
濵田崇裕
濵田崇裕
…俺かてあなたのこと
愛してるわ。
こんなんで許さないとかそんなん思わん。
持病が持病やからしゃあないと思う。

でも責任感強いあなたやから
きっと俺よりもこの8年間辛かったはず。
濵田崇裕
濵田崇裕
…会いたいよあなた。
重岡大毅
重岡大毅
…なぁもしかしてさ?
俺の直感やけど
それファンレターちゃうと思う。
桐山照史
桐山照史
…どういうこと?
重岡大毅
重岡大毅
だって考えてみ?
ファンレターは物入れたらあかんやん。
なのにこの手紙には紫のイヤモニが
入ってんねん。
…ファンレターを管理してる人は
物が入っている手紙は捨ててまう。
でもこの手紙は捨てられなかった。
それは昔の仲間からの手紙やなくて
横山くんがあなたさんに
直接会って
あなたさんが直接渡してって
頼んだんちゃう?
濵ちゃんに渡して欲しいって
…横山くんに。
中間淳太
中間淳太
…それってつまり……。
重岡大毅
重岡大毅
横山くんはあなたさんの居場所
を知っている可能性がある。
桐山照史
桐山照史
…濵ちゃん!!
濵田崇裕
濵田崇裕
…俺、横山くんのとこ行ってくる。
中間淳太
中間淳太
俺も行く。
照史も行くぞ。
桐山照史
桐山照史
おう。

あなたからの手紙を綺麗に薄紫色の封筒に入れて
手に持って楽屋を出て横山くん元に向かうため
俺は楽屋を飛び出した。
後ろから照史と淳太も追いかけてくる。


…ポケットにはあの紫のイヤモニも入ってる。


これでもし逃してしまったら
ホンマに俺は…いや俺らは
ずっと前に進まへん。

今がチャンスや。

やって やって


























もしかしたらやっと
あなたに会えるかもしらんから。
濵田崇裕
濵田崇裕
待っててや…あなた。

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