貴方side
〜現在編〜
あれから私は皆が食べた食器を洗って
片付けを終えた私は自分の家に帰るのも疲れて
結局2階の自分の部屋でまた寝てしまった。
次に目が覚めたのは綺麗な朝日に包まれた
綺麗な朝だった。
何時か確認したくてスマホで確認すると
液晶画面に不在着信が2件と姉からの連絡が
入っていた。
姉からの連絡からは今日の夜20:00頃に
こっちに着くと言う連絡だった。
お土産欲しい?と聞かれたので私はいつも
実家でよく食べていた大阪ならではのお菓子を
姉に頼んだ。割と直ぐに返信が帰ってきた。
可愛いスタンプで了解〜!と送られていて
私も思わず自然に笑えた。
姉からの連絡を終えて残るは2件の不在着信。
電話番号を見て直ぐに分かった
あの時から連絡はしていないから急にどうしたん
だろうと気になって朝少し早いけど折り返した。
割と直ぐに電話を出てくれた小瀧さん。
こんな朝早くから仕事があるんだなと思うと
何故か尊敬していた。
私がJrの時なんて午後からのレッスンだけだったから
やっぱりデビューしたら何もかも変わるんだな…。
今日はあまりお客様も来ない曜日だから
そんな必要はないけど万が一のことを考えて
座席の確保をする事にした。
それだけ言って小瀧さんからプチッと電話を切った。
最後の方はちょっと照れてた感じだったけど
何故だろうか。
12:00から始めるカフェのために私も準備をするため
パジャマから動きやすいパンツスタイルに着替え
食べ物の下準備をし始めた。
あれから午後になってカフェが開く時間になった。
扉を開ける為に外に出たらもう外にはお客様が
立って待っていた。
順番にお客様を通して行った。
1番奥の角のテーブル席は小瀧さん達の予約席として
確保しつつ他の席を案内してすぐ座席が埋まった。
本来ならこの時間帯はこんなに混まないのにと
不思議に思っているとテーブル席の若いお客様が
私に向けてすみませんと手を挙げた。
お客様①「今日はいつ来るんですか?」
お客様②「来てるんですよね!?WEST!!」
お客様③「特にBADが良く来るんですよね!」
お客様①「どんな関係なんですか〜?」
お客様②「私たちのものなんで…ね?」
注文なのかと思って急いできた私だけど
まさかこんなことを言うために手を挙げたなんて…。
何故バレたんだろう。もしかして追っかけ…?
でももし今日来ますって小瀧さん達のことを言ったら
きっと彼女たちはそれまで待つと言うだろう。
私は彼らの元先輩。
昔は一緒に活動とかしたこと無かったけど
昔の仲間の、私の大切の仲間のメンバーさんだから
ここでスラスラ言ったら行けない。
お客様①「…じゃあの予約席は何ですか?」
お客様②「メンバーじゃないの?」
お客様③「独占欲?なんなの?」
お客様②「自分だけ物にしたいだけじゃん。」
流石に…ね?
私がピシッと言ったあと罰悪そうに
お客様は顔を下に俯いたり水を飲んだりと
動揺していた。
お客様の方を一旦離れてそのお客様用の料理を作る
アイスコーヒー、ホットコーヒー
アールグレイ、ジャスミンティー
オムライス、ハヤシライス、ハンバーグ、
パンケーキ…。
作り終えたらお盆に乗せてお客様の方に持っていく。
順番に飲み物机に置いて
一旦離れてからまた料理が乗ったお盆を持って
さっきのテーブル席の方に持っていく。
料理を机に置いたらさっきまでの態度とは異なり
料理の写真を撮った後は大人しく食べ始めていた。
あれからあのお客様も他のお客様も帰って行き
カフェに居るのは私と老夫婦のお客様だけ。
あの老夫婦はいつも来てくれる常連さん。
もう顔馴染みで私が時間があったらよく
話をするほどもう仲がいい。
老夫婦①「あなたさん笑どうも。」
老夫婦②「おぉ〜!どうも笑笑」
老夫婦①「はい!笑」
老夫婦②「あなたさんがね?娘に似とるんよ笑」
老夫婦①「本当に可愛いわ〜。笑」
老夫婦②「…そろそろ行くか?」
老夫婦①「そうですね…。あなたさんまたね。」
レジまで一緒に行って会計を済まして
ちょっと重たいカフェのドアを開けてあげる。
笑顔で軽くお辞儀をして2人の背中が
見えなくなるまで見送った。
そしたらまた2人が振り返ってくれて
手を振ってくれた。
私も思わずまたお辞儀をして2人を見守った。
さっきよりは長く頭を下げていると
目の前には大きな影ができた。
恐る恐る頭を上げてみると
4人組の男の方がカフェの前で立っていて
それでも1人だけ知っている人が居て安心した。
4人の中でも1番背が高く小瀧さんは
私の頭を優しくポンっと置いて私が閉めた扉を開けて
中に颯爽と入って行った。
小瀧さんに続いて他の3人も中に入り
私も慌ててカフェの中に入った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。