第50話

イヤモニが白色の理由 ㊿
2,636
2020/11/18 09:12
貴方side
〜現在編〜
大倉くんに支えられながら2階に来た私は
大倉くんの手伝いの元ベッドに座った。
大倉忠義
大倉忠義
…大丈夫?苦しくない?
あなた

…うん。大丈夫。

大倉忠義
大倉忠義
…あ、水飲む?
あなた

…ううん。大丈夫。

大倉忠義
大倉忠義
……変なこと考えてへん?
あなた

……えっ?

大倉忠義
大倉忠義
……重なってしまった…よな?
あなた

……っ。

大倉忠義
大倉忠義
……小瀧が居てホンマに良かったわ。
…でも言いにくかったやろ?
あの時の空気とか何もかも色々
小瀧は何も知らないから。
怖いって言ってもこの状況だけしか
捉えられないって思ったんちゃう?
あなた

……私っ。

大倉忠義
大倉忠義
……もう大丈夫や。
皆おるからもう大丈夫。
横から優しく抱きしめてくれた大倉くんは
空いている手で私の頭を優しく撫でてくれた。
大倉忠義
大倉忠義
……延期やな。
あなた

延期?

大倉忠義
大倉忠義
…ん。
何に対しての延期なのか分からず
私は一旦大倉くんの腕の中から抜け出して
大倉くんと目を合わせた。
大倉忠義
大倉忠義
…覚えとらん?
1日だけ俺の彼女になるっていうの。
あなた

……覚えてるけどっ。

大倉忠義
大倉忠義
……2日目ってあり?
あなた

…大倉くん?

大倉忠義
大倉忠義
……2日目の俺だけの彼女。
あかんかな。
私の肩に手を置いて私の顔を覗き込む大倉くん。
私はどうしたらいいか分からず
目を合わせていたのを背けて下を向いた。
大倉忠義
大倉忠義
……やっぱなし!笑
あなたには濵ちゃん居るもんな笑笑
あなた

……うん。

大倉忠義
大倉忠義
本当なら濵ちゃんがここに来て
あなたを守る番やけど
濵ちゃんが居らん分
俺らがしっかりシンデレラを守らな
あかんな。
それに…俺も前向かなあかんから。
あなたに甘えてばっかはあかんからな。
あなた

……甘えてばっかは私の方だよ。

大倉忠義
大倉忠義
…あなた?
あなた

…私には皆がいるからって
沢山甘えて沢山迷惑かけてる。
今もそう。
あの日あの時のあのまんま。
私は何も成長してなかった。
………してない。
皆に甘えてばっか。
そんな私が……
好きになっちゃいけない人を
好きになったの。
アイドルがアイドルを好きになった。
元アイドルが…
元紅一点が好きになったのは
今をときめくアイドル。
沢山振り回してる。崇裕の事も皆も。
……大倉くんだって。

大倉忠義
大倉忠義
……それ以上喋るな。
大倉くんは低く聞いた事のないような声で喋り
静かに立って窓の方に向かった。
大倉忠義
大倉忠義
あなた見えるか?
この大空の下のどこかで
お前が好きになったアイドルは
今日もあなたを思って
働いてんねん。笑ってんねん。
飯食ってんねん。
…あなたは知らんやろ。
濵ちゃんがどれだけここに来たいか。
…俺はお前らがホンマに最高やと思う。
絶対にありえない、あっちゃいけない
そう思った相手を好きになったんや。
それもお互い離れてからやっと
気付いたんや。
世間の常識から外されたって
大多数の人に反対されたって
…お前らは相思相愛なんや。
引っ張って…落ちていくんや。
そういう経験って最高なんやで。
元アイドルとか元紅一点がとか
そんなん関係ないんやで。
あなたは一人の人間や。
濵ちゃんやって。
アイドルであろうと普通の人間や。
普通の人間が恋をしなきゃいけない
なんてそんなん…無理やろ。
大倉くんが開けた窓から眩しいくらいの夕日と
ちょっと肌寒い風が舞い込んできた。
大倉忠義
大倉忠義
…イメージカラーソングメドレー。
あなた

……えっ?

大倉忠義
大倉忠義
……濵ちゃん最高やから
その目に焼き付けて
迎え待っとって。
……後やっぱり
今日は拒否権なしで
1日俺の彼女。
……これが最後やから。
開いていたはずの窓も気が付けば閉まっていて
閉じた窓に被さって閉めるカーテンから漏れる
夕日を眺めていたら突然視界に光が無くなり
その代わりに…
甘くて苦い味がした。

あぁ…私、大倉くんとキスしたんだ。
あなた

…大倉くんっ。

大倉忠義
大倉忠義
ん〜?
あなた

…楽しみにしとくね。

大倉忠義
大倉忠義
……おぅ。
一旦離れた大倉くんはまた
窓の方に向かって歩きカーテンを開け
窓から見える景色を眺めていた。
大倉忠義
大倉忠義
幸せになって幸せを与えるんやで。
倍以上の幸せを濵ちゃんにな。
あなた

…うん。

私に背を向けたまま喋る大倉くん。
表情とか何も見えなかったから分からなかったけど
でもこれだけは分かった。

大倉くんはきっと下にいる誰よりも
私と崇裕の幸せを願ってくれてること。


大倉くん、ありがとう。
あなた

…幸せになるよ。

大倉忠義
大倉忠義
なってくれなきゃ
俺らも俺らで困るわ笑笑
振り返った大倉くんの笑顔は
悲しいくらい綺麗だった。

プリ小説オーディオドラマ