貴方side
〜現在編〜
小瀧さんが突然ここにやって来てから数時間後
窓から見える空は青色から綺麗なオレンジ色に代って
すぐに私たちがいる部屋のドアがコンコンとノック
された。
あっくんがノックに対して返事をすると
ガチャと音を立てたドアから入って来たのは
淳太くんだった。
流石にこれ以上迷惑かけられないし
あくまで大倉くんや淳太くんはお客様だから
ここは私が行かないと行けない。
1階から大きな声で大倉くんが淳太くんを呼ぶ
声が聞こえた。
淳太くんもすぐ行きますと返事をして
また私たちに何食べたいか聞いてくれた。
…特に何も思いつかなかったけど
でも何故か大倉くんが作るならと一つだけ頭に
浮かんだ料理があった。
大倉くんが作るミネストローネは本当に美味しくて
私が何か落ち込んでいた時や事務所を辞めて
家も何もかもどうしたらいいか悩んでいた時
大倉くんの家に居た時があった。
その時に作ってくれたのもミネストローネだった。
久しぶりに大倉くんが作るミネストローネを
食べれるって思うと本当に楽しみ。
あっくんの言葉を聞いて
窓の外を見てみると大倉くんと淳太くんが
丁度お店から出てきた。
窓を開けて私の声に気付いた2人は
上を見て私と目が合って私に手を振ってくれた。
私も手を振り返したら2人とも笑ってくれた。
夕日に向かって歩き出す2人を
いつまでも見守っていた。
2人が見えなくなってから
静かに窓を閉めるとあっくんが床に寝転びながら
私の方を見ていて私も椅子から降りて
あっくんの隣に寝転んだ。
あっくんは天井を見ながら言っていた。
確かになにか喋ったら返してくれる相手が居ると
それだけで幸せになれる。笑顔になれる。
私もあっくんと同じように天井見ていたら急に
横にいたあっくんが私をぎゅっと抱きしめた。
そのままずっと私を抱きしめたままあっくんは
黙ってしまった。
何をすればいいのか分からず私はずっと
腕の中にいたけど私もしばらくしてから
あっくんの背中に私の腕を回した。
目は合わないが私の頭を優しく撫でてそう言った
あっくん。
私もさっきよりもちょっと強めに抱きしめて
「安心して」と言う代わりに
ぎゅっとあっくんを抱きしめた。
同期のふたりが付き合って下手したら結婚する
可能性もある。
この先ジャニーズWESTは大きくなる為に
今はとても大事な時期。
だからあっくんはとても不安なはず。
これからって言う時に元同期の私と
大切なメンバーがこんな時に出会ったら
ファンはどんな思いをするのかなんて
私にでも分かるしそれが不安なあっくん。
最悪な場合、「ファンが離れる」という
最も起きてはならない事実だって
起きる可能性が高い。
やっと目が合うとふにゃと優しく笑ってくれて
私も優しく笑ってみせた。
2人で立ち上がってあっくんが先に歩く。
先を歩くあっくんにそう言った。
あっくんは右手をドアノブにかけていた時で
手を離したあっくんは振り返ってくれた。
そう言ってあっくんはまたドアノブに手をかけ
扉を開けて廊下に出た。
あっくんの近くに行って部屋を出て
下に居る横山くんの所に向かう。
もうすぐで1階に着く時に階段の途中で
あっくんは私にこう言った。
少し止まってしまった私をそのままに
あっくんは階段を降りきって
横山くん〜!と大声を出しながら
横山くんの方に行った。
私には崇裕が居る。私には皆がいる。
崇裕には私が居る。崇裕には皆がいる。
崇裕が私を支えてくれるように
私も崇裕を支えなきゃ。
崇裕に会える時間まで
私は崇裕にやれるべきことを考えないと。
横山くんと一緒に台所まで行って
3人で食器を出したりと2人が帰って来る間に
色々と準備をした。
崇裕に会えるまで
私の周りで起きた小さな幸せを拾い集め
崇裕に分けたい。
なんなら分けられる人になりたい。
明るい未来を共に作って行きたい。
崇裕と。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!