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第1話

《序盤》
35
2021/05/02 10:13
ある晴れた日の事…
万はいつも通り起こしてくれる

ちょっと起こし方が雑だけど…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
おい、千起きろ……
このままじゃ本当に留年だぞ?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
ん…
僕はとても朝に弱い…
だから、起こしてくれるんだけど
蹴るのはよしてよ…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
……万……
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
夜寝れなかったなら、少し寝とけ
昼からは出るからな?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万が居ないと曲が…
出来ない……
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
早めに帰って来るから
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
うん…
僕はふらふらしながらも立ち上がる…
でも結局転んでしまう…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
痛い……
助けを求める様に万を見る
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
よかったんじゃないか?
目が覚めて
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万は、冷たい…
ファンには優しくする癖に…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
あのな、客は音楽評論家じゃない
曲で認められなくてもいいだろ?
俺達は俺達らしくRe:valeの曲を歌えばいいんだから
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
そうだけど…
でも、曲が…出来ない…
俺は知ってる……
認められなくても、懸命に
頭をフル回転させながら
必死で全身全霊をかけて
千は曲を作っている…
すぐに曲が作れなくなったのは
千の音楽が尽きたんじゃなくて
千の視野が広くなったからだ…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
大丈夫か?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
……だめ……
千のか細い声……
弱ってるわけじゃない
音楽が自分の中で作り出せないから
きっと苦しいんだろう
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
俺も昼には出るから
ちゃんとお前も学校行けよ?
俺は少し呆れた様な顔で
上着を脱いでギターをもつ
千はそれを見てキラキラと
瞳を輝かせていた

わがままな事かもしれないが
俺は千の声も曲も千自体も好きだ
千の言動や、やり方には少し誤解がある
俺でも焦ったくらいだから
誰もが千の事を理解しなくてもいい
俺が理解してあげてれば
それでいいと思った
少女A
少女A
見て見て?
あの人カッコイイ
少女B
少女B
ホントだ〜!
あんな人が彼氏だったらな〜
(なまえ)
あなた
まぁ、うん…
カッコイイと思うよ?
どっちの事言ってるんだ?
千、外見は美人だし…
彼女達は千の事を言っているんだろう

俺か?
優しいとかそんなのは言われたが
容姿については、あまり言われた事がない
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万、曲仕上がったから聞いてみて?
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
曲?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
うん、前に万が
アレンジ加えた方がいいって
言ってた曲…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
あ〜、あれか…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
うん
その時、思ったんだ
曲が作りたい、評価されたい
千がそう思うのは
自分が本気で音楽を愛してるから
そして自分の誇りにしたいから
そう思った
━━━━━━━━━━━━━━━
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
どう?
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
前の方が良かったかな?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
アレンジが多すぎて
ごちゃごちゃしてるし
誰でも得意不得意はある
歌が苦手な人、得意な人
ギターが苦手な人得意な人…

だから千は
千の短所で損をするし
千の長所で得をしている
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
ごちゃごちゃって…
これでも頑張ってやったのに
でも、万がそういうなら
『えっと、Aメロが強いからここを…』

『そうだ。Cメロを少し含む?』

『でも、そうしたらBメロの場所が…』

『あ、そこは壊したら…』

言い合いながらも俺達は作っている
Re:valeらしい曲を……
そして……
2人
出来た!
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
な?少しのアレンジで
大丈夫だっただろ?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
うん、僕達天才かも!
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
な!Re:vale最高だよ!
あまりに五月蝿かったのか
隣の部屋からドンと壁を叩かれる
そしたら何故か嬉しくなって
俺と千で笑い、微笑み会う
千の笑う顔はとても綺麗だ
俺は自分で勝手に
『もっと成功させてあげたい
楽に歌わせてあげたい』

そう思った……
瑠璃(るり)
瑠璃(るり)
あの映画、怖いけど
評判いいよね!
一緒に観ようよ〜
春原百瀬(モモ)
春原百瀬(モモ)
え〜?
姉ちゃんが1人で観たら?
瑠璃(るり)
瑠璃(るり)
モモったら私が怖いの
苦手な事知ってる癖に!
春原百瀬(モモ)
春原百瀬(モモ)
オレ、怖いの好きだからね‪w
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
(映画?そういや評判いいって…)
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万、その評判いい映画…
観てみたい…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
うわ
この映画に出てくる人
作品作りに悩んで手首切ってる
怖…
俺の隣ではシャリシャリと
林檎を食べながら
涼し気な顔で千が観ている
一旦『怖くないのか?』と
聞こうと思ったが
また新たにストレートな言葉で
帰って来るから辞めておこう……
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
でも、コイツなら
曲作りに悩んで手を切る…
やりかねないから
観ない方が良かったかも…
いつも通りのある日
俺達Re:valeは
学園祭の助っ人を頼まれた

俺はOKしたんだが
千は不服そうだ
千曰く
『アイドルなんて1番言われたくない』
そうだ……
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
いいじゃないか
Re:valeの宣伝にもなるんだ
千は運動嫌いなのに筋は悪くない
少女A
少女A
あ、ほら始まるよ!
少女B
少女B
ちょっと、見えな〜い!
瑠璃(るり)
瑠璃(るり)
バンさんの…
春原百瀬(モモ)
春原百瀬(モモ)
姉ちゃん!
バンさんとユキさんどこ?
司会
司会
Re:vale、未完成な僕ら‼️
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
独りが気楽と
思い込んでた僕に
愛する喜びを教えてくれた
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
二人でいるから
未来が膨らんでく
窄めた肩をそっと抱き寄せよう
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
美しい揺らめきを
確かな光にしたい
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
恐れるものは何も
無かったあの日
2人
そうさ
2人
未完成な僕らは
すれ違うなんて思わずに
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
果てなく広がる空を見つめた
2人
でも
2人
此処に立ってられるのは
君の存在があるから
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
呼吸そろえて歩きだすのさ
2人
Ah…
2人
夢の在りかへ
千が初めて客に笑顔を
送ってくれている
あ、いいな…これ……

うん、これでいいじゃないか
千も俺もお客さんも楽しみたい
千も俺もお客さんも歌が…

ただ、ただ、好きなんだ…

千の心の中で曲を
まだ生み終えていない
歓声も注釈も早すぎる
だからまだ

未完成のままここにある
(なまえ)
あなた
すごい…
少女B
少女B
やっぱりRe:valeはすごいよ
少女A
少女A
綺麗な声だし、歌もいい…
千と俺の曲が風の様に走り抜け
客席、俺と千の間で軽やかに舞う

輝く太陽も青空もいい歌だと
言ってくれる…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その後
学園祭のステージをきっかけに
アイドルとして
Re:valeは活動してる
ますます評判が上がる

=1年後=
俺は高校3年に上がった、千は2年だ
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
卒業したら上京しようと思う…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
え?
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
拠点があっちの方が
活動しやすいし
終電逃したら
泊まればいいから
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
でも……
千のその声は
遠慮している声ではなく
少し寂しそうな声だった
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
来年になったらお前も来いよ
すぐ、本格的な活動出来るように
準備しておく
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
遠くにいると
今みたいに……すぐ会えない
そうだ、千の友達は俺だけだ
でも元気付けてやればいい
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
たったの一年だ
絶対にデビュー出来るよ
それは俺自身にも言い聞かせた言葉
千を歌で食っていけるように
千は人の下で働くのには向いていない
俺が出来るのはそのくらいだったから
少女B
少女B
私、願掛けするって決めた!
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万、願掛けってなんなの?
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
願い事を叶える為に
自分の行動なんかの
制限する事だよ
お酒を経ったり髪を伸ばしたり…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
髪を伸ばすのは
制限じゃないじゃん…
(なまえ)
あなた
いいよね、あれ
私、好きだな
少女B
少女B
うん、すごいもんね!
少女A
少女A
私も、あれ好きだな!
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
何か願掛けしてみるか?
新年だし
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
僕の望みは僕が叶える
千らしいな、と笑っていたら
人に押されたのか女の子とぶつかった
女の子は『すみません』と
ペコペコしている
流行に乗っている感じではないけれど
綺麗だなと感心してしまう
(なまえ)
あなた
本当にすみません…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
その声、もう少し聞かせて?
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
お、おい!!

いきなり声かけるなんて失礼だろ?
(なまえ)
あなた
へ?声ですか?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
うん、持ち歌でも
なんでもいいから歌ってよ
(なまえ)
あなた
え〜っと、地声で…ですかね?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
当たり前
(なまえ)
あなた
♪♪♪〜♪♪♪〜
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
その声
中々、いい……
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
確かにな……
よくスカウトされないな
されないのが不思議なくらいだ
(なまえ)
あなた
とりあえず
順番来たみたいですから
お願い事しますか?
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
それもそうだな…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
……………
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
『Re:valeが成功しますように、千が傷付きませんように、俺に彼女が出来ますように、そして今度は浮気されませんように』
俺はチラリと千を見る
綺麗な顔立ち、人形の様な整った髪
彫刻の様なスラリとした鼻
印象的な泣きぼくろ
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
『俺と千がずっとRe:valeらしくいい歌を歌えますように』
(なまえ)
あなた
何かお願いしましたか?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万が僕を怒りませんように…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
怒らせる事するからだろ?
(なまえ)
あなた
お餅、好きですか?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
は?いきなり何?
(なまえ)
あなた
い、いえ…
お餅屋さんがあったので…
ちょっと、なんとなく…
好きなのあったら買って来ますね?
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
あ、じゃあ俺はきなこで!
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
僕は、ずんだ餅…
(なまえ)
あなた
はい、じゃあ
お二人の分買って来ますね?
━━━━━━━━━━━━━━━
全て順調に進んだ
その後もあるんだから
俺も千も頑張って行こうと思えた

描いた夢を夢で終わらせないように…
必死にもがいて走り続ける…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
歯車が狂い出すように
描いた夢が夢で終わるかのように
見落としていた…どこでだ?

守られて来た千は
音楽無しでは生きていけない
千ではなく
俺無しでは生きていけない
千になっていた
スタッフ
スタッフ
まさか照明が落ちるなんて…
あれ?
え、モモくん?

僕がモモくんを見た時
側に居た女の子は泣いていて
モモくんも泣きそうな顔で
青ざめていた
春原百瀬(モモ)
春原百瀬(モモ)
バン…さん?
(なまえ)
あなた
…………
あ、正月に会った人…
……半分泣いてる…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
照明が落ちたのは
ただの事故じゃないか!!
僕のせいじゃない!
万のせいでもないじゃないか!
(なまえ)
あなた
びょ、病院内で騒がないで下さい…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
君は正月の時の…
(なまえ)
あなた
一応、ここの看護士です。
昨年入ったのでまだ下っ端ですが
スタッフ
スタッフ
生きてて良かったよな
岡崎凛人
岡崎凛人
岡崎事務所の岡崎凛人です…
申し訳ありませんが
デビューの話は白紙に戻すと社長が…
スタッフ
スタッフ
音楽プロデューサーとか…
そうそう九条さん!
アイツか……
有名なプロデューサー九条鷹匡
千を…
アイドル伝説のゼロの
後継者にしようとしていた男……
確かにあいつの下(もと)に居たら
Re:valeが有名になるチャンス…

だが俺も千も彼を好きではなかった
ゼロの代わりにしようとしていた
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万、大丈夫?具合どう?
九条がいる…
なんで千の側にいるんだ?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
地元に戻ったら病院に行きにくいから
なんで…こんなやつを…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万が起きたら連絡してくれって言ったんだ病院の人とか万の家族とかに
でもみんなだめって…
千は俺以外友達がいない
家族も放任主義で…
相方が重症を負って
憔悴してる所を付け込まれたんだ…
九条鷹匡
九条鷹匡
千、あの話は…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
万と話すから、あっち行ってろ
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
あの話ってなんだ?
僕が聞いたその声は
いつもの明るい万じゃなくて
本気で怒った声をしていた
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
言えよ千!!!!
怖い…
万ってこんなに怖かった?
でも、わかった
怒りの中に悲しみがあることは…
(なまえ)
あなた
ダメですよ?
まだ治りきってないのにそんなに
大声出したら…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
あ…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
君はこの前の…
(なまえ)
あなた
一応、ここの看護士です
(なまえ)
あなた
お話中でしたら
すみません
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
ごめん、大丈夫…
このくらい…
大事な事話してるから
席外しててくれるか?
━━━━━━━━━
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
デビューしよう…
九条が万の整形手術代
出すからって…
大神万理(ばんり)
大神万理(ばんり)
何を言ってるんだ?!
僕はオロオロしながら懸命に話した
なんでわかってくれないのか…
そう思いながらも話すくらいしか
僕には出来る事がなかった…
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
その…言ってたじゃないか…
僕達を見捨てた事務所のやつら…
……顔に傷、付いてたらダメだって…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
僕は万の前に立つ…
傷に触ろうとするけど身体が拒む…
『触るな』と言うように…
でもこれだけは言えた…

【万の顔に傷を残したままは嫌だ】

そして少し笑った…
万にどう見えたかは分からないけど…
僕が夢を叶える…
描いた夢のまま終わらせるのは嫌だ
僕は誤解される言い方が多いから
伝わってるかは分からない
でも、そう思って欲しい…

━二人の夢の為に━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

いつも俺に頼ってばかりだった千…
今は唯一無二の親友を
売り渡そうとしている…
千の足枷になるなんてまっぴらだ
そんな事で歌って来たんじゃない…
二人の夢の為じゃないか…
音楽無しで千は生きていけない
音楽がアイツの魂そのものだから
千は千らしく歌ってくれ…
例え輝く月が無くなったとしても

━未完成のままの千でいてくれ━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
僕は帰ってきた…
もちろん万の家に…
でも、そこには誰も居なくて
テーブルに置き手紙だけ置いてあった
九条鷹匡
九条鷹匡
居なくなっちゃったんだね?
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
うるさい…
九条鷹匡
九条鷹匡
仕方ないね
千だけでも、デビューしようか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その後、何度か九条と言い合いをした
手紙に書いてあったのは

『千らしく、Re:valeらしく歌えるように…』

Re:valeらしくってどこだよ…
最初はそう思った…
でも…思い出したんだ
万が入院時に言っていた言葉を…
そうだったのか
だからあんなに否定していたんだ…
知らないで僕は…
九条を怒りながら哀しんだ
━━━━━━━━━━━━━━━
側にいてあげたかったよ…
お前を、千を信じてる…
千の幸せを信じてる…
千の不器用な強さを信じてる
もう慰める事は出来ないけど
歌わずにはいられない魂を
孤独と絶望の闇の中に
閉じ込めたままは嫌だから
その中から一筋の光を見つけて
取り戻してくれ…

━千、お前を信じてるからな━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
九条鷹匡
九条鷹匡
千、お前だけでも……
折笠千斗(ユキ)
折笠千斗(ユキ)
うるさい…
万の歌が好きって…
僕と万の歌が好きって事は
嘘…なんだな?
九条はそれからブツブツと何かを
言いながら外へ出る

でもこれだけは聞こえた
『だから言っただろう?ゼロを超える人材なんて…』
それから外へ出て不気味に
クスクスと笑っていた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
静かだ…
歌なんて歌わない…
万がいないと歌えない…

寂しい…音が聞こえない…
暗闇の中みたいだ…
色も……
モノクロ写真の様になっていく…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
作者
作者
えっと、長ったらしく書いてしまったけど序盤(さいしょ)はこれでおしまい
作者
作者
感想をコメントにしてくれると嬉しいです!リクエスト…うーむ…私に書ける範囲だったらOKとします!先に言っとくが、芸能人とかは嫌いじゃないけど、声優さん以外は覚えるの苦手だからな?

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