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第9話

タオル。
※黒尾side※




あなたに逢えなくなって数日。






俺達の合宿も終わり
帰りの荷物を整理し始めた。

合宿所にも洗濯機があったから
すごく衣服が多い訳じゃなかったけど

あなたに渡されたジップロックを見つけ
何の気なしに『洗って返さなきゃ』と目を留める。




夜久がそれに気付いて

『なあ、女の子ってやっぱ服までいい匂いすんのかな?』

と、些細な疑問のように聞いていた。




さあ?とだけ返したが
周りはすでに検証しようと息巻く環境。



雑魚寝していた布団も畳んだ。

床掃除も終わった。

携帯の充電器も仕舞った。



ちょっとだけ。



夜久、研磨、リエーフ、山本。

山本が若干厄介だが…
今は俺とこいつらしか居ない。



ーーーーーゴクリ。



みんなたぶんそう。
自分の家の匂いとか自分の匂いは、慣れすぎて解らなくなる。



人の家の匂いは少し解るだろ?

たぶん、この袋に閉じ込められたのもそんな感じ。





過去付き合った彼女だって大抵香水を撒いてて
部屋も服も女もその匂いがしただけ。

つまり、香水が気に入ればいい匂いだが
苦手なら合わない。

そんな感じだった。



女子が甘い匂いってそんなとこ。








ーーーーパキ


ゆっくり…

ゆっくりジップロックを開封すると…



そこには数日前。

俺がときめいた『あなたの匂い』が溢れてた。



別段、服をクンクン嗅いだ訳じゃない。

まだ封を開けただけだ。



そのほのかな匂いは、袋を囲む野郎5人を一瞬で惹き付ける。




リエーフ「あなたさんて、香水とか使ってたんですか!?」

『いや、たぶんない。』


研磨「でも、間違いなく『あなた』だね。」

『うん。』





試しにTシャツを取り出してみると

なんとなく甘い匂いは柔軟剤かもしれないと思った。



よくは解らないが…

人としての微々たる匂いと柔軟剤が混ざって

最高の『女の子』を感じる匂いに思える。





山本「あなたちゃんが黒尾さんのシャツ漁りに来たの見てましたけど…正直、匂いってここまで大事だって…俺、ぜんっぜん知りませんでしたぁぁ…!!!くぅ…!!」

『泣くな。山本。
 俺も匂いなんて興味はなかった。
 が、やばいな…これは。』



うん。やばい。
めっちゃ、あなたの匂いがする。

逢えなくてもここにあなたが居る。



夜久「お前、あなたちゃんに5~7日おきにシャツ送ってくれって言われたんだろ?」

『ああ。言われた。
 俺なんかいい匂いじゃねーと思うけどな。』

夜久「わかんねーけど、この匂いって
   1週間くらいが限界なのかな。」

『どうなんだろ…。
 俺も洗って返すけど、次も送られてくるのかわかんねーからな。』





たぶん、ここにいる男は全員。

今日から衣服の匂いに敏感になる。




そもそも近くに居てすぐ逢えるなら
ここまで執着しないが

あなたは次いつ逢えるのか解らない。




烏野が練習試合だとして毎回居る訳じゃない。

けど、匂いは相手を思い出す他確かにいいかも。








シャツを丁寧に畳んでジップロックに戻し

もう一個入ってたタオル。



端っこに小さいリボンが付いてて
ピンクと紫の縞模様のタオル。



あなたが風呂上がりによく肩にかけてたのと同じやつ。

このタオルからも開封時甘い匂いがしていた。






ここまで来たら迷うことなく

ーーーーくんくん。

(まわりでおぉ!と歓声が上がる)








やっっっばい!




え!?

なにこれ!!





『どうやって作ったかわからんが
 めっちゃ風呂上がり。

 シャンプーの匂いのあなた。

 まんま、あなた。』




おぉーーー!!と、
みんなでくんくん。

いや、やばすぎんだろ。




山本なんて『端っこ嗅いでもしっかりあなたちゃんす!!』て興奮してやばい。

解らなくないが…異様な光景には間違いない。




バレー部集まって女子のタオル嗅いで
今入ってきたやつ、変な目で見るしかねーだろ。






とりあえず、匂いの件はこの5人だけの秘密として口止めした。






シャツを漁りに来た彼女の件は、
既に部内外に広く知れているが…

匂いにこれだけの効果があって

『私の代わりに嗅いでください。』と言ったあなたを多くの人間が見ている。




俺も一般的な男子高校生な訳で。



彼女の匂いがあれば

色んなこと想像しちゃう訳です。




あくまで仕方なく受け取ったジップロックとしてソッと鞄に仕舞った。






今夜、電話する時にタオルの話してみよう。