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第11話

逢えない時間





「好きだな、黒尾さん。」





ついつい溢れてしまう独り言。


早く黒尾さんの声が聞きたい。
自分でもこんなに恋する乙女みたいな日が来るなんて思ってなかった。




気がつけば毎日、ゲーム以外は漫画を読んでたのに…

黒尾さんと付き合うってなってから

パタリと読まなくなった。




少女漫画も小説も。

いつかこんな恋がしたいって…

毎日焦がれてたのに

少年誌はたまに読むけど

恋に恋してるみたいなの止まってきたかも。






これが本当の恋なのかな…。





今日もお風呂を済ませて髪を乾かし

麦茶を飲みながら部屋で課題の予習をする。





私の部活参加は、私からのワガママだから。

成績が落ちたり、他に支障を出しちゃいけない。

片親で育ててくれてるママとの約束。





勉強してると…

携帯が鳴って画面に『黒尾鉄朗』の文字が浮かぶ。




ーーもしもし、あなた?



ちょっと遠くで聞こえるみたいな電話の声。

すっごく聞きたかった。
大好きな声。



「うん。おつかれさま。
 テツロー、お風呂終わった?」



ーーああ、あなたは?
ーー風呂終わってた?だいじょうぶ?



「だいじょーぶ!
 部屋でのんびりしてたとこ。

 あ、今日ね!荷物きた!」



ーーお!もう開けましたか?お嬢さんっ



「開けました開けました!
 シャツ、ワイシャツも入っててキュンとした!」



ーーそこにキュンとしたのかよ。
ーー手紙とか上手く書けなくてさ…
ーーとりあえず着いて良かったわ。



「あとね。小さい箱にね。
 ネックレスがあって…音駒色みたいな紅い石の付いたネックレス。

 首に赤いのがあると…
 鏡を見るたびにテツローに逢うみたいで
 なんか、嬉しかった!

 ありがとねっ!」



ーーはは、音駒色と来るとはねぇ。
ーー彼氏からのプレゼント、大切にしてちょうだいよ。



「うんっ!

 夏休みはどう?
 練習試合多いでしょ?」



ーーんぅ、多いけどな。
ーーぼちぼちってとこかな。



ぼちぼち。
たぶんそうなんだろうけど…

少し疲れてるような気がした。



「テツロー…まだ逢いたくなる?
 たまに寂しいなとか
 思い出してくれる?」



ーーん、もちろんっ!
ーー俺いつでもあなたに逢いたい。
ーーすっげぇ逢いたくなる。



「えへへっ。嬉しいな。」



単純に嬉しかった。
逢えなくても思い出してくれる。

また服送ってって言われてから時々でも
私の存在を求めてくれてる気がして…

とにかく嬉しかった。



「あのね。テツロー。

 たぶん、忙しいと思うけど…
 8月のお盆休みの頃にね。

 私、用事で東京行く。
 全部で1週間くらい。

 毎日は逢えないかもだけど…
 どこか…」


ーー逢う!!!
ーー絶対、時間作るから!!!



「ふふっ、早いなぁ…。

 また時間帯解ったら連絡するから
 少しでも逢えたら嬉しいな。

 月末の方、烏野が行く練習試合に
 行けるかまだ解らなくてさ。

 今回、テツローに逢って充電したい。」



ーー約束。守るから!
ーー日付わかったら連絡して。

ーー1日空く日ができるなら遊びにも行くし
ーー東京、案内するから任せてちょうだいよ。

ーーあなたが甘えられる時間
ーー彼氏が責任もって作りましょうっ!



ちょっとふざけて言うテツローが目に浮かぶ。

優しくて包容力あって。
言葉のどこかで甘やかしてくれる。



ーーてかさ、お前。
ーー研磨とゲームしすぎだからな。

ーー女の子は寝る前にゲームしすぎちゃいけませんっ



「えっ、なんでゲームのこと…
 たまに研磨と遊ぶけど夜までは…」


時間帯まで知ってるとは…
研磨が仲良しで報告してるのかな?



ーー俺と研磨。
ーー家がとなり同士なのよ。

ーー部活終わって夕飯もよく一緒に食う。
ーー研磨の部屋で漫画読んでるとね
ーーお前とのオンライン通話が聞こえるわけ。



まじか!!!

え、これ黙って何日も聞いてた!?
私がめっちゃオタク発言してて
ゲーム詳しすぎるのとかバレてんじゃん!!

うあーーー、やらかしたぁーーー。
(メンタル死亡しました)



「す、すみません。
 つい夢中になりました。」



ーー女の子は、肌にも響くから程々にしなさいよ。
ーーあなたは大事な『俺の』彼女なんだからさ。



「…はい。」








なんだかんだ毎日励まされている。

ついつい可愛いこぶる自分。
でも筒抜けならいいのかなぁとか。

色々思いながら今日の電話も終わった。




今日もテツローには、

「好きだよ」と伝えていない。




言えたのは合宿中…

非常階段で話してたあの日だけだ。




8月、逢えたらやっぱりちゃんと言いたい。

私がなんで遠征行けないのか
この先どうしていくのか。

いろんなこと。


ちゃんと伝えたい。




自分の言葉でちゃんと。