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第13話

白いワンピースの少女。
※黒尾side※




今日も一段と暑い一日。


春高予選に向け
度重なる練習試合に、日々の練習。


例年だとお盆の頃には点検なんかで休みなるが
今年は日程が合わず、お盆の終盤に点検があるらしい。

特に予定のないメンバーは自由に体育館を使えるとなって練習が続いていた。




「おーし!休憩!!
 ドリンク無いやつ作りさないよ!」


適宜、仲間に声掛けをし水分補給を促していく。
が、かく言う自分もすでにドリンク切れ。

しぶしぶながら仲間を連れ立ってドリンクの補給に行くのだった。





―――ガラガラ

日よけ程度にと、通路との境目にある引き戸が夏の熱をもって熱くなっている。



「いやー、8月の体育館暑すぎでしょ」


リエーフ『ほんっとカラカラっすよ』

夜久『夜もって考えると…』



ほんと、毎年暑いからってのもあってお盆は休み。
使えるから練習に来ているが…

アスファルトからの熱気で陽炎までできていて暑さが半端ない。

日が昇ってくるこの時間帯は一気に熱が上がっていく。


ぼんやりと。
外の空気に身をゆだねて視線を流すと…

自販機のそばに白い影が見えた気がした。



一瞬見えた陰に話しかけるように研磨がそばに居るのを見つけ、
暑さに弱い研磨があんな日向に近しい場所で何をと声をかけた。



「けんまー!はやくしなさ……」


――え?




確かに白い影がそこにあって

研磨の隣に女の子がいるのが分かった。


女の子は白いワンピースを着ている。
男の夢みたいな真っ白なワンピース。

けど、一番驚くのは少女の顔。


見間違いとしか思えないがあなたに雰囲気が似ている。

陽炎や暑さのせい。

もしかしたら、ひと月近く見かけない彼女の姿を想像してみた幻。


驚きでボトルを落としたことにも気づかず近づいてみる。




研磨『クロ、あと任せるから。
   オレ、ボトルいれてくるね。』




―――すたすたすた

研磨の足音が遠くなる。


一瞬、時が止まったみたいになる。



「ん、お嬢さん、迷子ですか?
 学校の入り口で名前書きました?」


『あ、いえ…あの…』



勇気を出して幻みたいに白い少女へ話しかけると、

まるであなたみたいな声が聞こえてきた。


夏の暑さから、他人である少女に対してまで自分の彼女の幻影を見ているらしい自分にぎこちなさを覚えつつ、目の前の彼女そっくりの少女を助けようと試みる。



「俺、彼女いるんで親密にはできないっスけど…道案内だけしましょうか?」

『あ、あの。大丈夫ですっ!
 バレー部に用事があって…か、彼氏に電話するんで…すみませんっ』



やはり、他人のような少女の返答に
目の前の人間が自分の彼女ではなく、暑さに見た幻影なのだと知る。

もしかしたらあなたに似ていないかもしれない女の子。


あなただったらこんなワンピースも可愛いだろうとか

あなたが居たら暑くても何も辛くないなとか

やっぱりあなたに逢えないって辛くね?とか


色々なことが頭をよぎっていった。






少女に会釈して水道を目指す廊下に戻っていくと、

ふと、携帯が鳴っているのに気が付いた。


『もしもし?あなた?』


逢いたい時にかけてくる彼女は素晴らしい。

俺にとって最高の癒しでしかない。




――あ、もしもし?テ、ツロー…



昨日は勉強があるからって電話しなかったあなたの声。

たった二日ぶりなのに俺の胸は高鳴った。



『あ、うん、ごめん。部活中でさ。』


――うん。そうだと思ったんだけどね。


『でもさっき。
 あなたに似てる子見かけちゃって
 ちょうど、声聞きたくなってたことだったのよ。』



思い出して、再び少女を見てみると…

白い服を着た少女は同じく電話を耳に当てて

こちらに向かってきた。



―『8月になったから…
  会いたくなって来ちゃったんだよ、テツロー。』



ただただ驚く俺の目の前で
肉声と同時に電話からも同じ声が聞こえた。








瞬間。

俺は少女が彼女あなただと理解するより早く。

目の前の彼女あなたを抱きしめていた。