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第2話

恋に恋せよ匂いフェチ
『じゃ、俺と付き合う?』






二人きりの食堂。

先ほどこの言葉を投げ掛け
そのまままっすぐ私を見つめる彼は
音駒のキャプテン『黒尾さん』。




今回の東京合宿で
烏野はマネが私を含めて3人になる。

だからマネ不在の音駒をフォローするため
合宿中は、私が音駒のマネを担当した。





なので…
たった数日だけど知らない仲じゃない。




私が言葉を声にできないでいると

椅子ごと倒れたのを直してくれて

となりに黒尾さんが座ってくる。







「俺じゃダメ?

 俺も彼女居ないし…
 あなたちゃんが良いなら是非とも立候補したいんだけど。」





顔を赤くする黒尾さんが目の前に居て

途端に状況を思い出してハッとした。




「あ、あの…!」




勇気を出して声を音に。




「その、えっと…。

 私なんかで良ければお願いしたい、です。」




今、この瞬間。
夕方まではなんともなかったのにこの瞬間。

私は黒尾さんに恋をしたのかもしれない。



胸がキューっと苦しくて
目が合うだけでドキドキして

恋に恋してる私が
『好きかも』と思えた。

だから
この恋が本物か試したい。




本当に好きかも曖昧だし

黒尾さんだって『付き合う』のが初めてじゃないだろうから私とは『恋人』の温度が違うかも。





それでも、私は恋がどんなものか。

恋人が居たら本当に毎日幸せなのか。

たくさん知りたかった。






「えっ!まじで!!?」


ーーシャア!
と、ガッツポーツをきめる黒尾さん。

大人っぽくて
いつもは、ちょっと余裕そうなのに。

嬉しそうにしてくれるのは、なんだか可愛いと思った。






「黒尾さん、これから宜しくお願いします。」


「おう!改めてよろしく!」


「あの…!
 誰かと付き合うの、初めてです!」


「うん。知ってる。」


「色々と可愛くないこと言う時もあると思います。」


「大丈夫!
 俺、あなたちゃん相手ならどんな時も受け止める。」


「遠距離で逢うのも簡単じゃないですっ」


「うん。確かに簡単じゃない。
 けど、電話もメールもある。
 それに合宿も大会もある。

 あと1年すれば俺は高校卒業。
 そしたらたくさん逢える。

 だから大丈夫!」




どんなことを言っても全部。

本当に全部をニッと笑って受け止めてくれる黒尾さんに改めて大人っぽさを感じた。



けど、



「あと、私匂いフェチです!
 なので、シャツ貸してください!」


「ん?え…シャツ!?」



この性癖を理解してもらえないと
個人としてはかなり苦しい。



やっぱ無理ってなるなら…

フラれるなら…

傷は浅い方が絶対にいい!!





神にも祈る気持ちでお願いした。





やがて、目を閉じる私の頭をワシャワシャと撫でながら


「いいよ。」


「えっ…!!」



ーーーー泣きそう。

この性癖のせいでずっと彼氏できないと思ってた。

彼氏の匂い嗅ぎたいなんて
漫画の世界だけで許されてるのかって思ってた!!!!!




「そんな顔すんな!

 いい匂いとは言えないと思うけど
 あなたちゃんがいいならシャツくらいっ!」




なんて優しい人だろうー。

ますます涙腺に響く。




「わ、私のも貸します!」


「ぶ、わあはははは…!」


「黒尾さんっ!!!」





隣に座り爆笑する黒尾さんをポカポカと叩き

なんとも言えない温かい気持ちになった。




「俺ね。あなたちゃんがマネやります!って来た時から気になっちゃってさ。
 あなたちゃんがまだ俺のこと本気で好きじゃないと思うけど、必ず惚れさせる。

 恋に恋してる顔、本当にしてやるから宜しくな。俺の『彼女』さん。」


「うぅ…!黒尾さん。
 なんで常にそんな男前なんですかっっ」




あー、泣いちゃう。

この人の懐が深すぎて泣いちゃう。





「離れてると伝わらないこともあるだろうし言いたいことは遠慮せずになんでも言えよ。
 一応、先輩なんでたくさん甘えていいからさ。」





好きかも。恋かも。

まだ確実じゃないこの気持ちに名前はないかもしれない。





でも、黒尾さんなら全部受け止めてくれるかもって思えた。





「彼女初心者、雅あなた!
 今日から宜しくお願い致します!」




私は、全てを受け止めてくれるこの人と『恋』を学んでいく。