第4話
決まったら
試合前。少しピリピリした雰囲気。
でも私は、この時期が1番好きだ。
みんな、いつも以上に真剣な面持ちで、
すごくかっこいいから。
特に健太くんは。
初めての試合でしょ?なのに焦りが見えない。
みんな集中しすぎて、時間を忘れてる。
熱中してできることがあるのは、
とても羨ましい。
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部活が終わり。
体育館にいるのは私1人。
さて。帰ろう...
練習着のままボールを持った健太くんが入ってきた。
そんなの、現実にあると思ってなかった。
2次元の話だと思ってたのに。
こういう緊張感の中決められたら、
きっと試合でもうまくいく。
ぱすっ....🏀
ネットを潜り抜けたボールが、静かに地面を跳ねる。
フリースローラインから投げられた球は、
綺麗な弧を描いてネットを潜っていった。
健太くんは飛び跳ねて更衣室へ向かっていった。
すごい。
あの綺麗なシュート、私はおばあちゃんになっても
忘れないと思う。
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少し暗い道を2人で歩く。
いつも話しているはずなのに、とても緊張する。
夜のせいか。
なんか、本当いつもよりドキドキして。
変なこと口走っちゃいそうで。