第40話

Forty
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2021/04/23 20:31

蓮side…



とうとうこの日がやってきた




母「蓮!用意できた?」


『ん、もう大丈夫、』



結局あなたには
伝えることが出来ないまま
この日を迎えた



引越し業者の人が
忙しなく俺の荷物を運び



俺らも家を出て車に乗り込もうとすると




あなた「れ、ん?」



大好きな人の声が後ろから聞こえ
ゆっくり振り返ると玄関から
ピョコッと顔を出してるあなたと目が合う



『…あ、』



会っちゃった、
もうこの際 何も言わずに居なくなろうと
思ってたのにな



そんな事を思っていると
あなたが走って俺のところに来て
俺の腕を掴む




あなた「ねぇ、蓮…!」


あなた「引っ越すの?聞いてないよ私!」



目にいっぱい涙を溜めて
俺の腕を掴んでいる手の力を強める



『あぁ、ごめん、』


あなた「どこ、行くの?」

あなた「もう…会えない?」



溜まっていた涙が
あなたの目から零れ落ちる




あぁ、まだ俺の為に
あなたは泣いてくるんだ、




そんな事でさえも嬉しくなる、



優しくあなたの頭を撫でて




『ここの近くだよ、』


『あなたが会いたいって言えば俺はいつでもあなたに会いに行く』


『だから、泣くな…』



そう言ってあなたの涙を指で拭き取ると


あなた「絶対…連絡する」



目を真っ赤に染めたあなたが俺を見つめる



『うん…待ってる』



『じゃ…俺行くね?』



俺の腕を掴んでいる手を優しく握り
そっと離すとあなたはまた悲しい顔をする




そんな顔されたら
俺行けねぇじゃん…、




学校でも会えるし
一生会えないわけじゃねぇのに



俺らは生まれた時から一緒に居るから
離れたことなんて無くて



無意識にずっと一緒だと
思ったのかもしれない…、









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