第17話

有り得ない事件
61
2020/01/08 22:33
世羅 ひかり
世羅 ひかり
なっ!美愛達やないか…!
猫塚と町谷くんも、おかしい点に気付いて、


首を傾げる。


そりゃ、そうだよね。


羽華と咲希は同じ班。


でも美愛は、犬井の班のはず。


なんで違う班の女子三人だけ・・・・・・・・・・で、


あそこを歩いているのか。
阿彗 時雨
阿彗 時雨
いや、まさか、そこまでする?
…でも、もしそうなら…!!
私は、ある一つの最悪の可能性が頭に浮かんだ。
阿彗 時雨
阿彗 時雨
ひかり!!
あの三人連れ戻してきて!!
世羅 ひかり
世羅 ひかり
よっしゃ来た。
ひかりは、私達の前にいる三人の所へ走り、


私は少し手前の、小さな崖の様な所に走る。
そして、下を覗くと、
阿彗 時雨
阿彗 時雨
やっぱり…!!
大丈夫!?硝野さん!!
猫塚 颯太
猫塚 颯太
…は?
町谷 朔
町谷 朔
猫塚、俺らも阿彗さんのとこに…
猫塚 颯太
猫塚 颯太
嘘だろ…?そんなことあるか?
嘘じゃない。


硝野さんは、崖の下の出っ張りに落とされていた。
だけれど、ここからとしたら、


大体3メートル半、くらいかな。


手は届かなくても、ギリギリ私が下に降りれれば、


なんとかなる高さ。


それでも、危険なことは危険だ。


もし崩れたら、真っ逆さまに落ちていく。
猫塚 颯太
猫塚 颯太
待て阿彗、俺が…!
と、猫塚が止める頃には、私はリュックを置いて、


下へと飛び降りていた。
町谷 朔
町谷 朔
阿彗さん!!
阿彗 時雨
阿彗 時雨
よっと。硝野さん、怪我は…!!
と、私は軽々と着地して、


硝野さんに声を掛ける。


見たところじゃ、少し手の先が汚れている程度。


外傷は無いけれど…
硝野 紫暮
硝野 紫暮
だ、大丈夫です…!
阿彗さんこそ、怪我は…!
阿彗 時雨
阿彗 時雨
大丈夫。
町谷 朔
町谷 朔
二人とも!怪我は!?
と、上から覗いている町谷くん。
阿彗 時雨
阿彗 時雨
大丈夫!!
どっちか先生呼びに行ける?
町谷 朔
町谷 朔
俺、行くよ!
阿彗 時雨
阿彗 時雨
え!?町谷くん!?
世羅 ひかり
世羅 ひかり
しーちゃん、
町谷くん、陸上部やぞ?(笑)
と、姿は見えずとも、


親友の声くらい分かる。


というより、
阿彗 時雨
阿彗 時雨
待ってそれは衝撃の事実。
硝野 紫暮
硝野 紫暮
確かこの前表彰されてて…
阿彗 時雨
阿彗 時雨
うっそほんとに!?
町谷 朔
町谷 朔
一応長距離ですから。(笑)
じゃ、行ってくる!
猫塚 颯太
猫塚 颯太
悪い、町谷。
町谷 朔
町谷 朔
猫塚のせいじゃない。気にするな。
猫塚 颯太
猫塚 颯太
おう…サンキュ。
阿彗 時雨
阿彗 時雨
てか、三人は?
世羅 ひかり
世羅 ひかり
ここにおるよー。
美愛
美愛
な、なんで時雨まで…!?
咲希
咲希
まさか、飛び降りて…?
羽華
羽華
な、なんで…
阿彗 時雨
阿彗 時雨
それは後ね。
阿彗 時雨
阿彗 時雨
硝野さん、少し怖いかもしれないけど、肩車するから乗れる?
硝野 紫暮
硝野 紫暮
そ、そんな!
私が登ったら、阿彗さんは…!
阿彗 時雨
阿彗 時雨
まぁ、大丈夫大丈夫。
で、肩車、平気?
硝野 紫暮
硝野 紫暮
それは…大丈夫ですけど…
私、重いですよ…?
阿彗 時雨
阿彗 時雨
あー、それは大丈夫、
そんなことより、早く上に行きたい。
阿彗 時雨
阿彗 時雨
嫌でないなら、お願い。
硝野 紫暮
硝野 紫暮
分かりました。
本当に、すみません…。
阿彗 時雨
阿彗 時雨
うぅん。
と、私は硝野さんを肩に乗せる。
どうにか上がろうとしているけど、


行けるかな…
猫塚 颯太
猫塚 颯太
硝野さん!掴んで!
硝野 紫暮
硝野 紫暮
えぇっ!!
猫塚 颯太
猫塚 颯太
大丈夫!絶対離さないから!
と、何ともギリギリな発言が聞こえ、


ツッコミたくはなるけど抑える。


数秒後に私の肩の重みは消えて、


どうやら硝野さんは上に上がれた様だった。

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