猫塚と町谷くんも、おかしい点に気付いて、
首を傾げる。
そりゃ、そうだよね。
羽華と咲希は同じ班。
でも美愛は、犬井の班のはず。
なんで違う班の女子三人だけで、
あそこを歩いているのか。
私は、ある一つの最悪の可能性が頭に浮かんだ。
ひかりは、私達の前にいる三人の所へ走り、
私は少し手前の、小さな崖の様な所に走る。
そして、下を覗くと、
嘘じゃない。
硝野さんは、崖の下の出っ張りに落とされていた。
だけれど、ここからとしたら、
大体3メートル半、くらいかな。
手は届かなくても、ギリギリ私が下に降りれれば、
なんとかなる高さ。
それでも、危険なことは危険だ。
もし崩れたら、真っ逆さまに落ちていく。
と、猫塚が止める頃には、私はリュックを置いて、
下へと飛び降りていた。
と、私は軽々と着地して、
硝野さんに声を掛ける。
見たところじゃ、少し手の先が汚れている程度。
外傷は無いけれど…
と、上から覗いている町谷くん。
と、姿は見えずとも、
親友の声くらい分かる。
というより、
と、私は硝野さんを肩に乗せる。
どうにか上がろうとしているけど、
行けるかな…
と、何ともギリギリな発言が聞こえ、
ツッコミたくはなるけど抑える。
数秒後に私の肩の重みは消えて、
どうやら硝野さんは上に上がれた様だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。