と、クラスがお昼ムードで騒がしくなった時、
後ろから耳元で名前を呼ばれて、
思わず変な言葉になってしまう。
と、特に目立たず、怪しまれず着いたのは、
感心していたのも束の間、
猫塚くんの周りには、数匹の猫が近付いてきていた。
と、膝を付いて猫を撫でる猫塚くん。
フワフワとした毛に、クリクリの目。
とても可愛らしい猫達だな…
と、自然に頬が緩んでいた。
それに気付き、猫塚くんを見ると、
何故か私の顔をじっと見つめていた。
顔を近付けられ、更には褒め言葉。
『可愛い』なんて言葉、
自分に向けられるのは数年ぶりだろう。
いつもは悪い方に考えて、
からかわれているのではないかとか、
思ってしまうんだけれど。
何故か猫塚くんの言葉は曇りが無く、
本心から言っている様に聞こえるから、
嬉しいなんて一言では言い表せなかった。
と、猫塚くんも私も、弁当の包みを外す。
キラキラと目を輝かせて、自慢気に話す猫塚くんに、
思わず笑ってしまう。
と、色んな雑談しながらお弁当を食べ終わった。
今更な話、ご飯を食べ終わった事による、
私は何故ここにいるんだろう、という、
賢者タイムが訪れた。
まさしくその通り─────
でも、私にはそれができない。
だから、今、嬉しすぎて、泣きそうな位。
と、いうところで、体育館裏の階段に繋がる、
つまり私達の目の前の扉が、急に開いた。
すると、数匹の猫が扉の方へと行ってしまう。
一体誰が…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。