図らずも、マシュの助けで調査にあたることのできた、キャメロットにある不気味な大穴。
その奥深くにある炎。
祭神ケルヌンノスの死骸。
私はこの驚異に対して、ブリテンが統一された後、
ウーサーくんと相談して、対処に当たることを決めた。
しかし。
はぁ…はぁ…あぁ…!
あぁぁぁぁあ!
なんで…なんで…!なんで…!!
ブリテンで一番めでたい日だったのに…!
何もかも良い方向に生まれ変わる日だったのに…!
失敗する度に立ち上がって、何千年もかけて頑張ったのに…!
…ねぇ…ここでも駄目なの…?
ここまでやっても駄目なの…!?
私に、ブリテンは救えないの…?
…っ私には、ブリテンは与えられないの…?
…ぅ…ぁあ…ぅ…ああぁぁぁ…!
……許さない。
許さない!
アイツらを、絶対に許さない!
はぁ…はぁ…はぁ…
っふふ…あはは…あははははは!
…もう、散々裏切られて、思い知ってきたはずなのに。
私はまだ、一縷の希望を抱いて、そんなことにかまけている暇なんてあったから、今回も失敗した。
ブリテンを存続させたいのなら、救うなんて方針が間違っていた。
…もう辞めよう。
救世主なんてやめにしよう。
もっと別の、優れた形式を考えよう。
…そうだ。私は妖精たちを救わない。
私は妖精たちを許さない。
アヴァロン・ル・フェの指名なんて、どうでもいい。
ただ支配する。
…それだけで、よかったんだ…。
……この空想を終わらせて、私は私の夢を叶えてやる。
異聞なんて言う、「もしも」じゃなく、私のブリテンを。
この星に縫い付けるんだ。
ロンディニウムは滅びました。
結局、あなたの言うとおりになりましたね、マシュ。
…無意味だったんです。
私たちの巡礼は。
無意味だなんて、そんなことは…!
…そんな悲しい顔をしないでください。
トネリコが失敗するのは、避けようのないことだったのでしょう。
それが、ちょっと…私には耐えられない結末だっただけで。
トネリコさん…。
…それに、白状してしまうと、私はこの結末を知っていました。
マシュさんのいた、西暦2017年。
ブリテンで言うと、妖精歴102017年ですけど。
この時にはもう、滅びていたんです。
私はそれが嫌で、マシュさんのように、未来から妖精歴にやって来ました。
………。
トトロットが小舟を探してきてくれたようです。
さぁ、行きましょう、マシュ。
……いえ、初代妖精騎士、ギャラハッド。
それが、これから棺に入る、あなたの名前です。
…もう、仕方ないなぁー。
そんなに不安なのかい?
…なら、約束をしよっか。
とっておきの約束。
マシュがここに来たことは、間違いじゃなかったって、証明する約束だ。
とっておきの約束、ですか?
マシュは僕に夢をくれた。
僕の夢はね、君の花嫁姿を見ることだ。
それをくれた君を、僕はずっと見守り続ける。
来てくれてありがとう、って思い続ける。
……っ!
だから安心して、ここで待っていて。
…トトロットとのお別れは済みましたか?
……そうですか。そんな、約束を。
いいですか、ギャラハッド。
これは、あなたの目覚めたあとの話です。
あなた達カルデアが、もしモルガンの築いた妖精國を切除出来たのなら。
その次あなたに待つ戦いは、私と同じ戦い。
自分の心との折り合い。
人生の解析です。
あなたには、戦う理由がありますが、戦う意思が希薄でした。
他人を、世界を傷つける力から、それは良くないものだと無意識に逃げていた。
…でも、人は誰でも、他人を傷つける自由があり、また責任を持っている。
人間は、良いことをしたいのではありません。
良い明日のために、最善を選び続ける生き物です。
…そして、その選択にはどれほどの人が救われようと、正解は無いのです。
…でも、どんな素晴らしい人間でも、争わないという心はない。
戦いは、どんな心にもある。
どうか、それを忌避しないで。
あなたの胸の空白が、自分だけの戦う理由に埋められた時、
英霊ギャラハッドは再び、あなたに全てを託すでしょう。
…争いのない、心はない…。
それは、どんなものであれ…。
そう。
目覚めた時には忘れているだろうけれど、その時がきたら、思い出すようにしておくね。
私のように違うものに変わるのか、あなたのままで、新しく成長するのか。
そればかりは、私にも先読みできないことだけど。
………。
それじゃあ、ここでお別れ。
あ、でも気をつけて。
あなたが目覚めた時、私と再会したとしても、私はあなたの事を一切知らないから。
…多分、その時の私は、トネリコじゃなくなってるから。
……っ、トネリコさん!今まで、ありがとう、ございました…!
…例え、結果はわかっていたとしても、あなたの旅は、救世主の名に恥じないものだったと、私は思います!!
……!
…まぁ、そうだよね!頑張ったもんね、私たち!
…さようなら。確定した未来から来た勇敢な騎士。
その功績に免じて、私も秘密を明かしましょう。
……私の名は、モルガン。
このブリテンを救う使命を持って、星の内海から流れ着いた、アヴァロン・ル・フェ。
そして汎人類史においては、アーサー王の仇敵として、ブリテンを滅ぼした魔女。
…はるかな未来において、あなた達カルデアが倒すべき、異聞帯の王の名です。
そしてマシュは、初代妖精騎士として、眠りについた。
to be continued…
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