「...優香、君しか見えない。君がいればそれでいい。君の世界からいなくなったら僕もいなくなる。
...そのくらい、優香のことを愛してるよ。」
そう言って下げられた食器。
食器から手が離れると、その手は私に伸びてきた。
抵抗したい。
気持ち悪い。
今すぐ逃げたい。
殴りたい。
逃げたい。
逃げたい。
逃げたい...
...逃げれない。
「っきゃ...」
服の上から胸を触ってくる彼。
...犯されて、しまうのか。
このまま服を脱がされ、彼に身を委ねるしかなくなってしまうのか。
...彼を、身体でも受け入れなければならないのか。
「...触らないで。」
「...え?」
彼が私の目を真っ直ぐ捉える。
...今、私は...
彼に、抵抗してしまった?
気づいたら声が出ていただけなのに。
「触らないで。」
この一言が、彼の耳に入ってしまった。
だから、「え?」と言われた。
今更ながら、事の重大さに気がついた。
...私は彼を愛している“設定“なのに、彼を“拒んで“しまったのだ________
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。