第62話

〜四百六十一話〜
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2023/02/06 12:53
(なまえ)
あなた
ねぇ、人をバカにして楽しい?
出久より身長の高いあなたが出久を見下ろしている状態だ
あなたは少し足を曲げ、首を傾げながら出久を下から睨みつける


ダークグリーンの前髪の隙間から見える緑の瞳は鋭く光っていた
緑谷出久
緑谷出久
そんなっ、僕は姉さんの力になりたいだけで……
バカになんかして……
(なまえ)
あなた
ヴィランに何かされた?
力になりたい?
巫山戯るのも大概にして……
あなたは自嘲気味に笑いながらも出久を睨みつける
すると、あなたはスっと壁から手を離すと出久に背を向けて歩き出した
緑谷出久
緑谷出久
ッ……母さんだって、姉さんの事心配してる!!
父さんは今、海外にいるけどきっと姉さんの事心配して……!!
(なまえ)
あなた
父さんが海外?
笑わせないでよ
あんなの嘘に決まってるでしょ、父さんはここにいるんだから
そう言うと、あなたは部屋の端で腕を組み目を瞑っている久を顎で指した
すると、久は壁から起き上がると出久の方を向く
緑谷出久
緑谷出久
そんなっ、なんで……
出久はサッと顔を青くしながら目の前にいる数十年ぶりに見る久を見る
最後に会った時は十歳の誕生日、久が出久にプレゼントを持ってサプライズで家に帰ってきた時だ


それからはずっと海外で仕事をしていると思っていた出久
目の前にいる実の父親に心底驚いている


あなたは言葉の出ない出久を見ると、少し自嘲気味に笑いながら出久達に背を向けた
全員が唖然としている
(なまえ)
あなた
何かされたのは合ってるかもね……
それと、母さんは私の事なんて心配しないよ
母さんは出久あんただけを見てたから
そう言うと、あなたは足音を響かせながら部屋を出て行った
誰がなにを言おうともう振り返らなかった


その後の事はよく覚えていない
E組メンバーは烏間に、A組メンバーは迎えに来たオールマイトに引き取られる予定だったのだが、当然E組メンバーがある場所に向かって欲しいとA組メンバーを連れて向かった


烏間は防衛省に残り、E組メンバーにはイリーナがついて行った


向かっている途中に言葉を発した人は誰一人としていなかった
E組メンバーは全員が不機嫌だった
(なまえ)
あなた
『人をバカにして楽しい?』
出久はずっと頭の中であなたの声が流れる
先程の言葉、出久はあなたをバカにしたつもりは一切なかった
なぜ、あなたが怒ったのかも分からない
(なまえ)
あなた
『母さんは私の事なんて心配しないよ』
本当に心配していたのだ、出久があなたの事を心配そうに話すと、引子も心配そうな表情で同意してくれた
(なまえ)
あなた
『母さんは出久あんただけを見てたから』
自分だけを見ていた?
いや、あなたの事も見ていたはずだ
あなたが褒められている所を何度も見た事がある


あなたは何が言いたかったのだろうか
出久にはあなたの言っている事の理解が出来なかった
緑谷出久
緑谷出久
(姉さん……)
出久は今にも涙が溢れてしまいそうだった


──
───
────


一方その頃、あなたは久の前に座り足を組みながら窓の外を見ている
あなたの目の前には紙の束が並べれていた


そして、その横にはボールペンが


あなたは悲しそうな表情で薄く笑いながら足を組み直し、久の方を向いた
(なまえ)
あなた
こんな書類いらないでしょ


































































































(なまえ)
あなた
どうせ死ぬんだから

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