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2020/09/10

第1話

3年ぶりだね
あ...目が合った。3年ぶり?こんなところで再会することなんてあるんだ。


でも彼にとってもう私は関係ない

はずだった。



帰ろう。そう思った時。


『待てよ』

太くて低い、懐かしいあの声が私を呼んだ。


「飛雄...」




ちょうどロンドンから帰ってきたばかり。
13時間近くのフライトでかなり疲れた。
おまけに1時間も電車を乗り継いだから私の体力はもうすぐゼロ。

よいしょっとスーツケースを段差から持ち上げた。

そうか。いまVリーグのシーズンか。
てことはアドラーズがここら辺で試合を...

「影山、この人は?」

チームメートかな。背がとても大きい。


「先に飯いっててください。俺、ちょっとこいつと話します」


ペコっととりあえず私も頭を下げる。
そんなこと考えている暇はない。


仕事でロンドンに行くなんて自分でも思わなかったが、抜擢された嬉しさでいっぱいだった。
そして当時付き合ってた飛雄のことをほっといてしまった。


住む場所が変わってから、私は飛雄への態度を一変。
我ながら最低なことをしたと思う。
よく恋愛と仕事を両立するのは難しいと言うけれど、まさに私はヘタクソなタイプだ。

学生時代も。初めての彼氏は部活と恋愛の両立ができなく、「お前はいつも部活ばっかりだ」なんて言われてフラれてた。




でも飛雄は違った。


何かに打ち込む私を好きだと言った。



仕事に夢中になっても決して起こらなかった。
飛雄も練習ばかりだったから。
でも必ず私のことを気にかけてくれた。
忘れないでいてくれた。
あんなバレー馬鹿がずっとそばにいてくれたのが不思議なくらい。




『おい、何か話せ』

呼び止めたくせに勝手な人だ。

「久しぶり。元気だった?」

『なんで連絡しなかった』


すごく怒っている。そりゃそうだよね。
謝ってなかった。


「女にはいろいろ理由があんのよ」






『...お前を、ずっと待っていた。


連絡付かなくなってから死んだかと思った』


「そりゃ大袈裟でしょ」



『いま、何してる』


「家に帰る」


『話したい』

「疲れてる」



すごい幼稚。小学生の会話みたい。


『俺は3年待った』

「...ごめん」



決して飛雄のこと嫌いになったわけじゃない。ただ仕事が楽しかった。それに伴って恋愛は疎かになった。飛雄に連絡する回数だってどんどん減ったし、それでも飛雄は「待ってる」とずっと言ってた。





『もうずっと日本にいるのか』

「いるよ」

『明日試合がある』

「そっか、頑張って」

『見にこい』

「時差ぼけ」

『1日で直せ』

「何無理なこと言っ『待ってる』


あぁ、またこの言葉だ。
飛雄はいつも真っ直ぐだ。


『ちゃんと待ってる』

「...チケット余ってんの」

『マネージャーに言って用意してもらう。あ、連絡先』


とっ飛雄...天然なくせに持っていき方がうまい...。
ロンドンでケータイ変えてからずっと連絡してなかったな。
臆することなく交換し、「飯を食う」ってさっさと言ってしまった飛雄。


大荷物を抱えてヘトヘトになりながらホテルに着いた。
明日からアパート探さなきゃ...
なんて思っているうちに寝てしまった。

2時間経った頃に電話が来た。
飛雄か。


『起きてたか』

「今起きた」

『チケット、関係者専用ブースで貰え。お前の名前で取ってある』

「わざわざありがと」

『俺が無理に誘ったんだ、当たり前だ。疲れてるところ悪かったな、明日ちゃんと来いよ』


気を遣ってくれてるのか自分勝手なのか分からないよ。
でも、今の気分は悪くない。
久々に日本に帰ってこられた嬉しさと変わらない飛雄と会えたことに私は上機嫌でまた布団に突っ伏した。