第30話

未来を担う者
25
2021/02/01 11:48

「…まぁ、なんとしてでも彼女には頑張ってもらわなくては。
もう一度言わせてもらいますが、これから彼女に何があろうとあなた方には関係ないです。

僕はこれで失礼しますよ。」

そう言って病室を出て行こうと、手をかけたとき、ふと私の方を振り返った。

「あ、透亜さん。1週間後、4時半に第3訓練場に来てください。先輩などに聞けばわかるでしょう?」

そう言ってほんとに出て行ってしまった。

しかしなぜ最後は私なんだろう。
呼び出しだなんて。
1週間後の話なのに今から緊張してきた。

「…また聞けなかった。」

朱音先輩はそうつぶやいて、行ってしまった。
多分、さっき言っていた第3訓練場に行くのだろう。


私はどうすれば良いのだろう…と迷っていると、トントンと肩を叩かれた。
振り向くと、そこには私より少し高いくらいの身長の人が立っていた。

桜色の艶のある髪に、その髪と同じ色の瞳。

「はじめまして。あなたちゃんで合ってる?」
「は、はい。」

優しそうな声。


「急にごめんね。私は根花 晴美。
みんなが自己紹介した時、私ちょっと用事があって…。私の自己紹介が遅れちゃったんだ。
能力は創造。よろしくね。」

にっこりと笑った姿はとても綺麗だった。
見た目で判断してはいけないと分かっているが、頭も良さそうに見えた。
これこそ、才色兼備と言う言葉がぴったりな気がする。
彼女に見とれていて私は自分の自己紹介をするのを忘れていた。

「あ、私は 透亜 あなたです。こちらこそ、よろしくお願いします」

手を出されたので、手を出すと、ぎゅっと握られた。

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