第19話

食い違い
26
2021/02/01 11:41

「え?ち、ちょっと待って下さい!
て言う事は…私たちが敵を倒しきれていなくて、利菜先輩方の方に行ったとおっしゃるんですか?」

「そうだね。そういうことになる。」
少し間をおいてから利菜先輩は言った。

「…どういうこと…?

まさか… 1人だけじゃなかった…?」

『…‼』

朱音先輩の言葉に、その場にいた全員が気づく。

「まだもし…やつらの仲間が居るとしたら…?」

校内は大変な騒ぎになるに決まっている。そして気になることといえば…

「あいつらの目的は何…?」

この学校は幼稚部から高等部まで存在する。
そして、全ての生徒が能力者。
大事な大事な生徒情報は裏社会の誰もが欲しがっているだろう。
他にもここは、反社会的な組織を潰すための本部もある。襲ってきてもおかしくは無い。

だからそれだけのことがあるからこそ、警備も厳しい。だから入ってきたことをみんな驚いているのだ。

「決まってるよ…警備隊上位の人間を狙ってる。」

私でもなく他の3人の先輩でもなく誰かが話した。
扉の方から声が聞こえ振り返ってみればそこには晴美先輩がいた。

「手当てしてもらったの?
さっき、晴美と一緒に戦ったんだ。」

利菜先輩が説明をして、晴美先輩を入れる。

「さっきから敵が現れている場所は、警備隊上位の人間のみ…。
きっと教師を狙いたいんだろうけど。強すぎるから戦いたくない。
……かと言って…弱い人間は連れて行きたくない。だから警備隊だけを狙ってる。」

腕を組んで考え込んだ晴美先輩は数秒後にはっと顔あげる。
そして、愛奈先輩に掴みかかるように聞いた。
「ねぇ!あなたちゃんは⁈
1番危ない!」

「あなた…!」

一瞬私の頭には"?"がたくさん浮かんだが、その思考はすべてどこかに飛んでいった。

利菜先輩が隣の病室まで行こうとした瞬間、大きい爆発音が鳴る。
すぐそばのようで耳を貫くような爆音とともに建物が揺れる。

「わっ!」

私はバランスを崩してしまい倒れそうになったが、すぐ近くにいた愛奈先輩が支えてくれた。

「ありがとうございます…」
「大丈夫?それよりあなたとこに早く行かなきゃ。ここから近い。」

いざと言う時にクールになる朱音先輩が下唇を噛んでいる。
今回は相当やばい。
隣の病室で急ごうとしたが…

「っくそ、開かない!」

利菜先輩が扉を思いっきり引こうとする。
今の揺れで建物が歪んでしまったのか、引き戸が開かなくなってしまった。

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