「え?ち、ちょっと待って下さい!
て言う事は…私たちが敵を倒しきれていなくて、利菜先輩方の方に行ったとおっしゃるんですか?」
「そうだね。そういうことになる。」
少し間をおいてから利菜先輩は言った。
「…どういうこと…?
まさか… 1人だけじゃなかった…?」
『…‼』
朱音先輩の言葉に、その場にいた全員が気づく。
「まだもし…やつらの仲間が居るとしたら…?」
校内は大変な騒ぎになるに決まっている。そして気になることといえば…
「あいつらの目的は何…?」
この学校は幼稚部から高等部まで存在する。
そして、全ての生徒が能力者。
大事な大事な生徒情報は裏社会の誰もが欲しがっているだろう。
他にもここは、反社会的な組織を潰すための本部もある。襲ってきてもおかしくは無い。
だからそれだけのことがあるからこそ、警備も厳しい。だから入ってきたことをみんな驚いているのだ。
「決まってるよ…警備隊上位の人間を狙ってる。」
私でもなく他の3人の先輩でもなく誰かが話した。
扉の方から声が聞こえ振り返ってみればそこには晴美先輩がいた。
「手当てしてもらったの?
さっき、晴美と一緒に戦ったんだ。」
利菜先輩が説明をして、晴美先輩を入れる。
「さっきから敵が現れている場所は、警備隊上位の人間のみ…。
きっと教師を狙いたいんだろうけど。強すぎるから戦いたくない。
……かと言って…弱い人間は連れて行きたくない。だから警備隊だけを狙ってる。」
腕を組んで考え込んだ晴美先輩は数秒後にはっと顔あげる。
そして、愛奈先輩に掴みかかるように聞いた。
「ねぇ!あなたちゃんは⁈
1番危ない!」
「あなた…!」
一瞬私の頭には"?"がたくさん浮かんだが、その思考はすべてどこかに飛んでいった。
利菜先輩が隣の病室まで行こうとした瞬間、大きい爆発音が鳴る。
すぐそばのようで耳を貫くような爆音とともに建物が揺れる。
「わっ!」
私はバランスを崩してしまい倒れそうになったが、すぐ近くにいた愛奈先輩が支えてくれた。
「ありがとうございます…」
「大丈夫?それよりあなたとこに早く行かなきゃ。ここから近い。」
いざと言う時にクールになる朱音先輩が下唇を噛んでいる。
今回は相当やばい。
隣の病室で急ごうとしたが…
「っくそ、開かない!」
利菜先輩が扉を思いっきり引こうとする。
今の揺れで建物が歪んでしまったのか、引き戸が開かなくなってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。