第25話

優しい瞳
17
2021/02/01 11:46

あなたside

暇だ。暇で仕方がない。

爆発音が鳴ってからそれ以外に変化はなかった。
彩も帰ってこないし樹里さんも見当たらない。もちろん先輩も。

といっても扉を開けて確認するくらい。

時計は4時を指しているから、1時間はずっと部屋にこもっている状態。流石につまらない。

それと…
「昔の事、全部思い出した。」

病院で目覚めた時、あんまり過去を思い出したくなかった。寝てる間に全てを見て思い出した。

思い出したくない理由もわかった。

その時、ふと私が苦しくなる前の会話を思い出した。



愛奈先輩が私を安心させるかのように微笑んで、頭をポンポンと優しく撫でてくれて。

『あー、愛奈お母さんみたい~』って朱音先輩が言って…。



「愛奈先輩…。普通のお母さんってあんな感じなのかな?」

私はあんな目で見て見てもらったことは1度もない。
どこか安心できる、優しい目。

いつも私を見ていた目は妬み恨みが入ったあの目。
思い出して、悪寒が走る。

その時急にドアからノックが聞こえてきた。

「はい?」
「水月ちゃん?」

ノックの主は樹里さんだった。
ドアを開け、部屋に入れると樹里さんは、彩さんのことを話してくれた。

「ちょっといろいろあって…、いや、関係ないわけじゃないし全部話す。」

樹里さんの話をまとめるとこんな感じだった。

談話室であった襲来はあれだけで終わりじゃなかったらしい。情報が漏れていたのか、私…水ノ子がここにいることがバレていた。
敵は水ノ子を抵抗できないうちに奪うため、私が何も学んでいないこの時を狙った。
だが、こちらも何もわからないわけじゃない。敵が侵入したことがわかっていたために私の周りには、先輩方がついていた。
しかし敵もそんなことでは諦めず、強力な奴を用意した。
そいつが先輩達の前に現れたものの、決着がつかず…。敵は自爆した。
その巻き添えを食って、先輩達は怪我を負った。
怪我を負った先輩を助ける為、彩は能力を使い、能力を操るための力が尽きてしまい、今は倒れて眠っている。



「もうすぐ彩も目覚めるはずなんだよね。
病棟まで一緒に行かない?」

と言うことで私は病棟にまた行くことになった。









特別病室に入ると___

「彩?」
と詰め寄る愛奈先輩と…

「で、でも…」
とベッドの上で正座する彩がいた。




何してるの?どういう状況?

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