第17話

病院
86
2021/02/01 11:40
あなたside

隣の建物に繋がる渡り廊下を歩く。
この先は病院となっているらしく、連れて行ってもらった。
自動ドアをくぐりぬければ、そこはさっきとは違う雰囲気がして、入院をしている時の服ではなくみんな制服を着ているのがちょっと変だった。

「先輩達は…隊員の中でもトップだから。
特別病室なんだ。
…でも今回は軽かったから…ベッドじゃない方かな。」

エレベーターで目的の階へ行くのかと思ったら、扉が閉まった瞬間、彩は1階から7階までの階のボタンを押し、次に、閉まるボタン、9階、2階、6階を順番に押した。
私はそれに驚きながら見ていた。
私はその『ベッドじゃない方の特別病室』に連れてきてもらった。

彩がノックをする。

「失礼します。」

引き戸型の扉を開ければ、先輩方2人がソファに座っていた。

「あなたちゃん~。彩も来たんだ。」

ひらひら手を振る愛奈先輩の左の腕には包帯が巻かれている。朱音先輩は足に湿布が貼ってあった。

「私初めてでした。水を纏った敵なんて。」

大丈夫ですかと心配しながら彩は言った。

「私も初めてだよ。
だからこそ苦戦しちゃった…。まだまだ足りないね。」
朱音先輩は自分で足の怪我を触りつつ反省していた。
「1年生であれくらいできれば上出来だよ。」
愛奈先輩は彩を励ます。

中を見れていないが、怪我を見ればどれだけ激しい戦いをしていたのかが分かる。

だが、1つ気になったことがある。
彩は制服は汚れていたけれど怪我1つもしていない。
そんなこと言っているが怪我のないのが1番だ。

「彩は…怪我大丈夫?」

「あぁ、私は能力のおかげで怪我をしてもすぐ治っちゃうんだよ。」

彩の能力…。確か自然能力だったような。

「この能力は詳しく言うと、炎、水、氷、電気、植物、地、風、鋼、をもともとあったものを操れたり、自分で出すこともできるんだよ!」

手のひらを出してと彩が息を吹きかければ小さく炎が出た。
これが能力…!すごい…。

「私は全然操るのが上手くないからまだまだなんだけど…朱音先輩はすごいよ!」

彩が朱音先輩に目配せをすると、「プレッシャーかけないでよ…」と朱音先輩が呟いた。
すると少し考え込んでいた愛奈先輩が声を上げる。

「あ!
あなたちゃんも能力訓練しなきゃしなきゃだね。それよりも前に…体力向上から始めないとだけど…。」









___________________

気炎万丈… 意気込みが他を圧倒するほど盛んであること。

goo辞書より

プリ小説オーディオドラマ