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2018/02/12

第1話

(1)「ながらへば」
花蓮&陽人 (1)  花蓮side


「ごめん、もう終わりにしよう」

初めて出来た彼氏にふられたことは今でも鮮明に覚えている

涙が止まらなくて心がきしきしと傷んで、
毎日別れた彼を思っていたことも
何もかも覚えている

今となっては懐かしい思い出、
綺麗な形となって収まっている思い出

それでもあんな思いはもうしたくない、
痛くて息ができないようなあんな恋、したくなかったんだ


君に会わなければ、良かったの?
君の優しさに気づかなければ良かったの?
君の笑顔から目を逸らせば良かったの?
考えても、答えは、まだ空の上



___「俺のことしか考えられなくしてやる」

こんなドラマチックな告白は生まれて初めてで胸の高鳴る音は体中に響いている
いつの間にか、私の体は冬だというのに熱くなっていた

「わ、私で良ければっ…」

他校だから会える回数は限られていたけど、
君と笑い合う時間は何もかも忘れられた


『私のこと好き…?』

何回も聞いたその言葉も

「好きって10回言って」
「俺はお前を?」
『…好き?』
「違う、大好き」

ずるい、ずるい、ずるい

君からもらう言葉一つに鼓動を速くさせたあの瞬間を、私は懐かしく思えるのかな

頭を撫でられたあの手を、

誰よりも早く「何かあった?」なんて聞いてきたその声を、

唐突にくれるプレゼントと一緒についてくる無邪気な笑顔を、

そんなこともあった、なんて笑い飛ばせる日が来るのかな



「今までありがと、さよなら」

いつだって別れはあっさりとしてる
男ってそういう生き物

分かってはいたんだけどさ、

理由も分からないまま、

私の“好き”だけ残されたまま、

君の存在だけ去っていくのは、

…あまりにも卑怯だよ

今日のことも今までのことも
全て綺麗にしまいこんで
前を向ける日が来るのかな



「__花蓮」

ふと風が吹くと耳元で、
あの人が私の名前を呼ぶ声が聞こえる

もう聞けないと思うと
自然と悲しみが雫となって溢れそうになる

ああ、出会った時はこんなに好きになるなんて思わなかったのに…


もう会うことはないんだろうけど、
万が一会えたなら
その時には“思い出”に出来てるといいな


「また君に会える日まで、」

長くなっちゃったな、と
そっと私は書いていた日記を閉じた



『陽人、ごめんね
最後の最後まで、
大好きでした
付き合ってくれてありがとう
幸せでした_』

伝えられなかった最後の言葉は未送信のまま、

もう送られることはなかった