第14話

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2021/03/22 04:09

~本牧中央病院~



バス停付近のベンチに腰掛ける
由美さんを見つけた




『由美さん!お待たせしました!
どこにいるか分からなくて車向こうの方
停めちゃいました……って何ですかそれ?』


湊川「被害者男性の診断書。
さっき主治医の先生から貰ったの。」


『へぇ~!初めて見る!見せてください!』

湊川「はい。」



被害者男性、蠣崎光太郎の診断書を見ると
刺された箇所や傷口の形、治療内容など
色々なことが細かく記載されていた。


湊川「あん、念の為全部内容覚えてくれる?」




『お願いされなくても勝手に覚えちゃうんで
任せてくださいよ~!…………ん?』


蠣崎の診断書に記されていた傷口の向き…


『由美さん…これって……』


湊川「どれ?………すぐに確認する。」


由美さんが響介さんに連絡をしている間
この診断書丸ごと覚えちゃおっと。


湊川「湊川です。」


伏見「何かあったのか?」


湊川「ちょっと妙なことが分かったんです。」


伏見「あんが迎えに行ったはずなのに
…まさかまだ帰ってないのか。」


湊川「すみません。あんも一緒に居ます。
急ぎで確認したいことが
被害者の蠣崎光太郎の証言についてです。
逆手で持ったナイフで上から刺された。
そう証言しましたよね?」

伏見「…ああ。それがどうした。」

湊川「担当医から診断書を預かったんです。
今あんが記憶してくれてます。
その診断書によると傷は
上から下に向かって刺されたものでした。」


伏見「下から上……?」


湊川「蠣崎の証言なら傷は…」


伏見「上から下にできる。」


湊川「そうなんです。証言と矛盾します。」



電話での二人の会話が耳に入ってきた。
やっぱり証言と矛盾してたみたい………
ってことは……



伏見「……ってことは自分で刺した」


電話をしていた由美さん
診断書を覚えることに集中していた私。




後ろからくる影に気がつけなかった。


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