ある日の帰り道、
「ごめん、大毅。明日は一緒に帰れないんだ。」
『?そーなんや、何かあるんか?』
「あ、うん、ちょっと実家に帰ろうと思って、」
『そーか、気いつけて行きや』
「うん、」
______________________________
あなたside
電車に揺られること50分、
私の実家は遠くもなく近くもない微妙なところにある。
周りは住宅街があって、
不便なことは特に思い当たらない。
「ただいまー」
母「え、あー!あなた!お帰りなさい」
「ただいま、元気だった?」
母「そりゃ元気よ、あなたこそ元気だった?」
「そのことで話さなきゃいけないことがあるの」
母「まぁ、とりあえず上がりなさいー」
______________________________
母「で、?何話したかったの?」
「えっとね、、、、」
「ってことなんだよね、」
母「やっぱり早く行った方が良かったのかしら、」
「ううん、大丈夫、」
母「お父さんには私から言っておくわ、」
「ありがとう、」
母「今日は帰るの?」
「うーん夕方には帰るかな?」
______________________________
大毅side
『もしかしてあなた病気のこと話してきたのか?』
「うん、話とかないとね、」
『そーよな』
『あ!今週の日曜休み?』
「た、ぶん?」
この日が訪れるのがどんなに恐ろしいか、まだ俺は知らない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!